このページでは、MLBを理解する上で不可欠な用語の1つアウトライト(アウトライト・ウェイバー)を紹介します。
MLB公式サイトの解説を中心に見ていきたいと思います。
①アウトライト・ウェイバーを球団が利用する目的
アウトライト・ウェイバーを球団が利用する目的は主に2点です。
・40人枠から選手を外すが、その選手をマイナーにキープしておきたい
・オプションがなくなった25人ロースターの選手をマイナーに降格させたい
②アウトライト・ウェイバーの手続き
アウトライト・ウェイバーの手続きには主に2つの結果があります。それぞれ図解します。
(1)他球団がアウトライト・ウェイバーにかけられた選手を指名(クレーム)した場合
球団がマイナーに降格させたい選手を決定
↓
その選手をアウトライト・ウェイバーにかける
↓
他球団から指名がある
↓
他球団に選手は移籍*1
球団がマイナーに降格させたい選手を決定
↓
その選手をアウトライト・ウェイバーにかける
↓
他球団から指名がない
↓
選手は元の球団に残留
↓
マイナー降格が決定
(一部選手は拒否権あり*2)
*1
移籍した選手の契約等は全額移籍先チームが負担
*2
拒否権を持つ選手については以下の③で説明
③アウトライトを告げられた選手が3年以上のサービスタイムを持っているor過去にアウトライトされた経験がある場合
以上の条件を満たす選手は球団からアウトライトを告げられてマイナー降格を命じられてもそれを拒否してFAになる事が出来ます。
しかしサービスタイムが3年以上5年以下の選手は自身に保障されている残りの契約を完全に放棄しなければなりません。
一方で5年以上の選手は、自身の契約を保障された状態でFAにもなる事が出来ます。
④実例
2015年5月にレッドソックスはアレン・クレイグを40人枠から外す決断をします。彼はその時点で残り$25.2Mの契約を抱えていました。
彼はまずウェイバーにかけられましたが、高額な契約もあり他球団は手を挙げませんでした。こうして彼のマイナー降格が決まります。
彼は3年以上のサービスタイムを持っていたので、マイナー降格を拒否してFAになる権利を持っていました。しかし彼のサービスタイムは5年に到達していなかったので、FAを選択した場合$25.2Mの契約を受け取れなくなるのです。
このような状況だったので、クレイグはAAAへの降格を受け入れました。
参考リンク
①http://m.mlb.com/glossary/transactions/outright-waivers
②https://www.bluebirdbanter.com/pages/primer-on-transactions-options-and-outrights
Photo BY
Keith Allison