MLBの読み物

MLB(メジャーリーグ)の少しマニアックな情報を発信するサイトです。

15290840821_e2cb96b3fa_z

このページでは、MLBを理解する上で不可欠な用語の1つアウトライト(アウトライト・ウェイバー)を紹介します。

 

MLB公式サイトの解説を中心に見ていきたいと思います。

 

①アウトライト・ウェイバーを球団が利用する目的

アウトライト・ウェイバーを球団が利用する目的は主に2点です。

 

40人枠から選手を外すが、その選手をマイナーにキープしておきたい

・オプションがなくなった25人ロースターの選手をマイナーに降格させたい

 

②アウトライト・ウェイバーの手続き

アウトライト・ウェイバーの手続きには主に2つの結果があります。それぞれ図解します。 
 

(1)他球団がアウトライト・ウェイバーにかけられた選手を指名(クレーム)した場合
 

球団がマイナーに降格させたい選手を決定

その選手をアウトライト・ウェイバーにかける

  他球団から指名がある

他球団に選手は移籍*1

(2)他球団がアウトライト・ウェイバーにかけられた選手を指名(クレーム)しない場合
 

球団がマイナーに降格させたい選手を決定

その選手をアウトライト・ウェイバーにかける

他球団から指名がない

 選手は元の球団に残留

マイナー降格が決定

                             (一部選手は拒否権あり*2)

                        

 *1

移籍した選手の契約等は全額移籍先チームが負担

*2

拒否権を持つ選手については以下の③で説明

 

③アウトライトを告げられた選手が3年以上のサービスタイムを持っているor過去にアウトライトされた経験がある場合

 

以上の条件を満たす選手は球団からアウトライトを告げられてマイナー降格を命じられてもそれを拒否してFAになる事が出来ます。

しかしサービスタイムが3年以上5年以下の選手は自身に保障されている残りの契約を完全に放棄しなければなりません。

一方で5年以上の選手は、自身の契約を保障された状態でFAにもなる事が出来ます。

 

④実例

20155月にレッドソックスはアレン・クレイグを40人枠から外す決断をします。彼はその時点で残り$25.2Mの契約を抱えていました。

彼はまずウェイバーにかけられましたが、高額な契約もあり他球団は手を挙げませんでした。こうして彼のマイナー降格が決まります。

彼は3年以上のサービスタイムを持っていたので、マイナー降格を拒否してFAになる権利を持っていました。しかし彼のサービスタイムは5年に到達していなかったので、FAを選択した場合$25.2Mの契約を受け取れなくなるのです。

このような状況だったので、クレイグはAAAへの降格を受け入れました。

 

参考リンク

http://m.mlb.com/glossary/transactions/outright-waivers

https://www.bluebirdbanter.com/pages/primer-on-transactions-options-and-outrights

 

Photo BY

Keith Allison

17172945629_38bcc162aa_z
このページでは、MLBを理解する上で不可欠な用語の1つ
DFAを紹介します。

 

MLB公式サイトの解説を中心に見ていきたいと思います。

 

DFAとは

DFAは略語であり正式名称はDesignate for Assignmentと呼ばれています。

DFAはチームが選手を40人ロースター(40人枠)から外すときに行われる手続きです。

40人ロースターについては以前紹介しました。リンクはこちら

 

DFAされた選手はどうなるのか?

DFAされた選手はその日から7日間以内に他球団にトレードされるかoutright waivers(アウトライト・ウェイバー)にかけられて他球団から指名(クレーム)されればそのチームに移籍します。

 

もし7日間以内にそのどちらにも該当しなかった場合チームはその選手をマイナーに降格(アウトライト)させるかリリースする事が出来ます。

 

しかしここでまたまた例外があります。

MLBでのサービスタイムを3年以上持っている場合or過去にアウトライトされた経験がある選手は上記の降格(アウトライト)を拒否してFAになる事が出来るのです。

 

③実例

20144月にブルージェイズはジェレミー・ジェフレス(MIL)DFA。彼はウェイバーで他球団からの指名(クレーム)を受けませんでした。

こうなるとブルージェイズはジェフレスをマイナーに降格あるいはリリースする事が出来ます。

しかしジェフレスは以前にアウトライトされた経験があったので、マイナー降格を拒否。結局FAになりブルワーズとマイナー契約を結びました。
 

参考リンク

http://m.mlb.com/glossary/transactions/designate-for-assignment

Photo BY
pmonaghan 

 

14451611183_50362202d1_z
このページでは、MLBを理解する上で不可欠な用語の1つ
40-man Rosterを紹介します。

 

MLB公式サイトの解説を中心に見ていきたいと思います。

 

40人ロースターに含まれる対象

25人ロースターに登録されている選手

7日間(脳震盪)or10日間DLに登録されている選手

・忌引き登録されている選手

・家族の健康問題で戦線を離脱している選手

・出産立会いのために戦線を離脱している選手

 

40人ロースター(40人枠)に登録されていない選手を25人ロースター(25人枠)に登録する方法

 

25人ロースターのページでも説明しましたが、25人ロースターの選手は40人ロースターにも登録されていなければなりません。つまり40人ロースターに登録されていない選手をいきなり25人ロースターに登録する事は出来ません。

では40人ロースターに登録されていない選手を25人ロースターに登録したい場合はどうするのでしょうか?

 

(1)40人枠に空きがある場合

40人枠に選手を登録&25人枠に選手を登録で25人ロースターに登録できます

 

(2)40人枠に空きがない場合

40人枠に空きがない場合は40人枠にいる別の選手を40人枠から外す必要があります。その方法は以下の通りです。

 

40人枠にいる選手をDFAする

40人枠にいる選手をトレードする

40人枠にいる選手をリリースする

40人枠にいる選手を60DLに登録する

 

40人枠には登録されているが25人枠に登録されていない選手の扱い

 

MLBのシーズン開幕時に40人枠にいるが、25人枠にはいない選手はオプションされます。オプションは言い換えるならばマイナー降格です。

1つのオプションの有効期限はそのシーズンが終了する日までです。

言い換えると1年間にMLBとマイナーを複数回往復して10回マイナーに降格しても1シーズンのオプションの行使数は1回とカウントされます。

 

それぞれの選手に与えられるオプションの数は原則3回が上限です(故障歴等で4回に増える場合もあります)。つまりチームは選手をMLBに昇格させてもそこから3シーズン分選手をマイナー降格させる事ができるのです。

 

裏を返せば3回のオプションを使い切った選手が4年目に突入すると、チームはその選手をマイナーに降格させるためにはその選手をDFAする必要が生じます。

 

参考リンク

http://m.mlb.com/glossary/transactions/40-man-roster

Photo BY
GabboT 

 

13551843624_7ac41d2476_z
このページでは、MLBを理解する上で不可欠な用語の1つ10-and-5 Rightsを紹介します。

 

MLB公式サイトの解説を中心に見ていきたいと思います。

 

①言葉の定義

MLB選手として、10年以上のサービスタイムが経過しておりかつ5年以上同じチームに所属している選手が対象となります。このような選手は所属チームからトレードの打診を受けた場合にこれを拒否することができます。

この105というキーワードを使って10-and -5 Rightsという言葉が使われているのです。このルールは1972年に制定されました。

 

10-and-5 Rightsが適用された例

2018年の夏にボルティモア・オリオールズに所属していたアダム・ジョーンズはフィリーズへのトレードをチームから打診されました。しかしジョーンズは家族の事等を考慮してボルティモアに残ることを決めて、この権利を行使しました。

 

参考リンク

http://m.mlb.com/glossary/transactions/10-and-5-rights

https://www.baltimoresun.com/sports/orioles/bs-sp-10-and-five-rights-20180801-story.html

Photo BY
Keith Allison 

35760264202_b6a55e4e00_z

このページでは、MLBを理解する上で不可欠な用語の1つ25-man Rosterを紹介します。

 

MLB公式サイトの解説を中心に見ていきたいと思います。

 

①言葉の定義

25人ロースターはアクティブなメジャーリーガーから構成されます。このアクティブは試合に出場できると考えると分かりやすいと思います。また25人ロースターは12人野手&13人投手あるいは12人投手&13人野手で構成される場合が多いです(例外はあります)25人ロースターに登録されている選手には1日毎にサービスタイムが発生します。

25人ロースターに登録されている選手は40人ロースターにも登録されなければなりません。

 

参考リンク

http://m.mlb.com/glossary/transactions/25-man-roster

Photo By Keith Allison 

 

7177688450_13137e960e_z
いよいよ明日はMLBの関係者が勢揃いするウィンターミーティングの最終日です。その最終日の名物の1つが「ルール5ドラフト」です。

 

日本には現状無い仕組みですので、今回は簡単にルール5ドラフトの概要を説明してみたいと思います。今回はMLB公式サイトのhttps://www.mlb.com/mets/news/rule-5-draft-preview/c-301627212

の記事を参考にしています。

 

①指名順位

ドラフトの名を冠しているように、ルール5ドラフトは完全ウェーバー制であり指名順位が高いチームから順に指名していきます。指名順位は2018年のシーズン勝率によって決まります。

 

今回の指名1位は115敗を喫したオリオールズです。その後は勝率順に進んでいき、プレーオフでの成績等は一切反映されません。その為プレーオフに進出したブレーブスよりも進出できなかったレイズの方が指名順位が後になっています。

 

 

②指名対象の選手

指名対象の選手は大きく2つに分けて考える必要があります。その基準はMLBのプロ球団と初めて契約した年齢です。

契約した時点で18歳以下の選手はそこから5シーズン以内に40人枠に登録されなければ、ルール5ドラフトの対象となります。

一方で契約した時点で19歳以上の選手はそこから4シーズン以内に40人枠に登録されなければ、ルール5ドラフトの対象となります。

 

今年で考えるならば、2014年のドラフトで指名&契約した高校生の選手や2015年のドラフトで指名&契約した大学生の選手を想像すると分かりやすいかなと思います。

 

またプロ入りしてからチームが変わった選手も適用除外とはなりません。例えば現在マーリンズ所属のマッケンジー・ミルズは2014年のドラフト時点ではナショナルズ所属でした。その後彼は2度の移籍を経験していますが、今回指名される可能性があります。

 

 


③指名の仕組み

指名をするチームはその選手が所属していたチームに10万ドルを支払うことで選手を獲得できます。選手を指名したチームは翌年のシーズンにその選手を1年間25人枠に置いておく必要があります。もし成績不振等でその選手を外したいとなると、その選手は元所属チームに返却されます(通常のマイナー降格とは異なる)。また返却されたチームは指名球団に5万ドルを返金します。

 

指名は絶対行う必要があるわけではなく、指名を見送ることも可能です。また40人枠最大限まで選手は何人でも指名可能です。

今回はヤンキース等を筆頭に7チームがすでに40人枠の上限に達しており選手を指名できません。一方で最小のレンジャーズは34人等と多くの才能を加えられる可能性があります。

 

④過去の成功例

埋もれた才能を発掘するために行われるルール5ドラフトでは、多くの名選手が輩出されています。今回参照した記事の中で1990年以降のルール5ドラフトで指名された選手のWAR上位が掲載されていました。

1.ヨハン・サンタナ(元ツインズ等) 50.7

2.シェーン・ビクトリーノ(元フィリーズ等) 31.2

3.ジョシュ・ハミルトン(元レンジャーズ等) 28.1
4.
ダン・アグラ(元ブレーブス等) 17.5

5.ホアキム・ソリア(FA) 17.5

 

いずれもMLBファンには馴染みのある選手が多いと思います。今回指名される選手の中にも未来のスーパースターが埋もれている可能性も大いにあります。

 

 

⑤今回の目玉選手

今回ルール5ドラフトで対象となった選手で、MLB公式サイトのプロスペクトランキングでチーム別に30位以内に入っている選手は合計77名です。中には2015年のドラフトで一巡目に指名を受けたタイラー・ジェイ(ツインズ22)やリッチー・マーティン(アスレチックス12)といった元エリートも含まれています。

 

他にもロイヤルズの2017年最優秀マイナー投手を受賞したフォスター・グリフィン(ロイヤルズ29)100マイル超えの速球を投げるジュニアー・フェルナンデス(カージナルス14)、精密なコマンドが売りのトム・エシェルマン(フィリーズ29)等も個人的には気になります。

 

SLUGGER(スラッガー) 2020年 09 月号 [雑誌]
日本スポーツ企画出版社
2020-07-22

 

ライブ配信も公式サイトから観れるようですので、是非楽しんでください。

Photo By 
http://bit.ly/2RVQGNu

当サイトに関する免責事項をまとめさせていただきます。(当サイト=MLBの読み物とする)
1当サイトに掲載されている記事の内容におきましては 正しい情報を提供することに勤しんでおりますが、提供している記事の正確性について一切保証するものではありません。そのため当ブログの利用から発生したいかなる結果に対しても、当ブログは責任を負いかねます。
2当サイトに掲載されております画像等は、著作権等を侵害するために使用しているものでは ありません。著作権に関し何らかの問題がある場合は、お問い合わせフォームからご連絡ください。確認次第、対応させていただきます。

このページのトップヘ