MLBの読み物

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アストロズのサイン盗みに関して、MLB機構のコミッショナーであるロブ・マンフレッド氏の署名入りの報告書(PDF9ページ)を全文日本語でお伝えしましたが、番外編として今回はルーノーGMとヒンチ監督の処分後の声明文を日本語で紹介します。

 

Part1こちら

Part2こちら

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Part4こちらからそれぞれお読み頂けます。

 

1.ジェフ・ルーノー(前アストロズGM)による声明文

私は(チームの野球に関する運営を担当する)フロントオフィスの社長およびアストロズのGMとして、私の監督下で発生したルール違反に対する責任を受け入れます。アストロズの組織、アストロズのファン、そしてヒューストンのコミュニティに今回の問題が引き起こした恥に関して謝罪します。フロントオフィスの運営を指揮する機会を与えてくれた(オーナーの)ジムクレーンに深く感謝します。

 

私は不正を犯す人間ではありません。野球界の内外での32年間のキャリアで私と密接に協力してくれた人なら誰でも、私の誠実さを証明できます。ルールが破られていることは知りませんでした。コミッショナーが彼の声明で述べたように、私は個人的に不正行為を指揮、監督、または関与しませんでした。サインを盗む行為はフロントオフィスの上層部によって計画または指示されたものではありません。ゴミ箱を叩いてサインを伝える方法は選手達によって計画および実行され、ビデオを使ってサインを盗む手法に関してもベンチコーチと彼に協力した下位レベルのスタッフによって開始および実行されました。(もし私がサイン盗みに関する事実を知っていたならば)私はそれを止めたはずなので不正行為を知らされなかったことに深く腹を立てています。

 

私たちのフロントオフィスはこの重大なマイナス面をはるかに上回るプラス面を達成してきたというクレーン氏の意見に同意します。多くの非常に優秀な人々がアストロズのために働いてきました。私は、アストロズのフロントオフィスで訓練を積み昇進して現在球界で活躍している人達を、非常に誇りに思っています。

 

2.AJ・ヒンチ(前アストロズ監督)による声明文

野球界の最高の利益を守るためのマンフレッドコミッショナーの揺るぎない決意に感謝します。これらの出来事(電子機器を用いたサイン盗み)に関係していることを後悔し、この期間内のチームの行動に失望し委員の決定を受け入れます。

リーダーおよびMLBチームの監督として、野球の格式を最高の形で示す誠実性を持ち選手とスタッフを率いることは私の責任です。様々な証拠が示しているように私がサインを盗む行為を支持または参加しませんでしたが、私はそれらを止めることができず、とても申し訳なく思っています。

今回の問題が彼とアストロズに及ぼしたすべての否定的な側面について、私は(オーナーの)クレーン氏に謝罪します。ファンにはこの困難な時期を通して継続的にサポートしてくれたこと、そしてこのチームに感謝します。間違いを犯したことをお詫び申し上げますが、そこから学ぶことができると確信しています。

ヒューストンで私が過ごした時間を通して、私はキャリアの中でもいくつか最高の瞬間を経験できました。それらの(最高の)思い出は(これからも)常に私と私の家族の近くで大切なものとして残っていきます。アストロズでの時間が終わったことには悔いが残りますが、チーム・選手・そして光栄な事に共に働く事が出来たスタッフを応援していきたいと思います。私が愛する野球の世界で将来彼らに幸運がある事をお祈りしています。

 

Photo BY: Photo BY:M&R Glasgow

参考:①A.J. Hinch releases statement after being suspended and fired

② Jeff Luhnow issues statement in wake of suspension, firing

 

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今朝発表されたアストロズのサイン盗みに関して、MLB機構のコミッショナーであるロブ・マンフレッド氏の署名入りの報告書(PDF全9ページ)を全文日本語でお伝えします。
Part4ではルーノーーGMやヒンチ監督の処分の理由等について触れています。

Part1こちら

Part2こちら

Part3こちらからそれぞれお読み頂けます。
 

ジェフ・ルーノーGMの責任

ルーノーはサイン盗みに用いられた2つの手法であるゴミ箱を叩く方法とリプレイレビュールームスタッフがサインを解読してそれをダッグアウトに送信する方法への関与を断固として拒否しています。 調査ではルーノーがゴミ箱を叩く方法を認識していたことを示唆する証拠は見つかりませんでした。 また調査によると、ルーノーが2017年または2018年にリプレイレビュールームのスタッフがサインを解読する方法を考案したり、積極的に指示した事実は見つかりませんでした。

ルーノーはリプレイレビュールームのスタッフがサインを解読して送信している事に気付いていた事も否定していますが、 実際には彼がその手法を知っていた上でそれほど関心を示さなかったという事を示す文書的な証拠と証言があります。

 

チームの規則違反に関してルーノーがどれほど把握していたかとは関係なく、私は彼のチームが行なった違法行為について彼に責任を負わせます。GMの仕事はスタッフと選手の行動を認識し、それらの行動がオーナーとMLBのルールによって設定された行動規定の両方に適合することを保証することです。

20179月のレッドソックス事件に関して彼は知っていた事そして2017915日に私が全球団に送付した文書とジョー・トーリが送付した20183月の文書の両方を受け取ったにもかかわらず、ルーノーはチームが規則を遵守していることを確認するための適切な措置を講じることができませんでした。

ルーノーは上記の文書の内容を伝えず、選手とスタッフがMLBのルールと文書に適切に対応していることを確認しませんでした。ルーノーが20179月にそれらの措置を講じていたら、その時点でアストロズが両方のサイン盗みをやめていたことは明らかです。

 

最後にALCSでのブランドン・トーブマン前GM補佐の行為に関する調査に関する9回の面談に加えて、今回の調査で実施した68件の面談から収集したアストロズのフロントオフィスに関するいくつかの一般的な観察を行います。

フロントオフィスの運営に関する経験が豊富な人物を擁する他のチームと同様に、アストロズのオーナーであるジム・クレーンはフロントオフィスの裁量をルーノーに委任しつつ、(彼自身は)チームのビジネス側の運営に注力しています。

 

そしてルーノーが野球界の分析革命を先導しアストロズをプレーオフの常連のチームに再建した現在最も成功した野球エグゼクティブの一人であると広く考えられているという事実に照らしても、野球部門とビジネス部門で責任の分担を疑問視することは困難です。ルーノー率いるフロントオフィスが分析の業界リーダーであることに誰も異議を唱えることはできませんが、従業員の扱い方や他のチームとの関係に現れているフロントオフィスの文化、メディアや外部の利害関係者との関係は非常に問題があります。

少なくとも私の考えでは、フロントオフィスの結果を優先しすぎる文化がしばしば指示や十分な(上司による)監督を欠いているスタッフと結びつき、それが部分的にブランドン・トーブマンの事件につながりました。さらにその事件に対する不適切で不正確な事後対応、そして最終的に今回のレポートで記載されているような事が起こる環境に繋がっていると言えます。あくまでこれらの指摘は野球に関する事を決定するフロントオフィスに対して向けられたものであり、今回の調査は野球とは独立したビジネス部門には及んでいません。

 

AJ・ヒンチ監督の責任

ヒンチはゴミ箱を叩く手法を考案した事もそれに参加することもありませんでした。ヒンチは調査員に、ダグアウトの近くに設置されたモニターを使用して選手がサインを解読しゴミ箱を叩く行為を彼はサポートしなかったと言いました。

ヒンチはモニターを物理的に2回損傷させて交換を必要とすることで、サイン盗みを認めないという意思を示そうとしました。

ただしヒンチは20179月にレッドソックスが懲戒処分を受けた後でも、サイン盗みを拒否せず選手達またはコーラがサイン盗みを行う事を止めなかった事を認めました。

同様に彼はリプレイレビュールームからサインを伝達する方法に関しても存在を知りながらも止めませんでした。しかしながら彼はこの方法にも同意せず、サイン盗みの目的でのリプレイフォンの使用に関して少なくとも1度懸念を表明しました。選手とコーチを管理する責任を持つ人物としてヒンチが行動しなかったことを正当化することはできません。

 

もしヒンチが状況の処理方法を分からなかったならば、問題をルーノーに伝える事は彼の責任でした。ヒンチはサイン盗みの継続を許可したことについて、私と調査官の両方に後悔の念を示しました。ヒンチの反省は評価に値しますが、特に彼は一連のサイン盗みに関する事情に精通しており2017年のポストシーズンを通じてそれを続けることを選択したのであり彼はチームが行なった行為に対して責任を負わなければなりません。

 

アレックス・コーラ(2017年アストロズのベンチコーチ)の責任

コーラはゴミ箱を通じたサイン盗みの手法の開発とリプレイレビュールームの利用によるサインの解読と送信の両方に関与しました。コーラは両方の行為に参加し彼の積極的な参加を通じて、暗黙のうちに選手達の行為を容認しました。DOI2018年にコーラが監督を務めるレッドソックスが行なった電子機器を利用したサイン盗みに関する調査を完了させるまで、彼の処分の決定を延期します。

 

ブランドン・トーブマン(前アストロズGM補佐)の責任

トーブマンはALCSの試合後に複数の女性記者に対する不適切な行為により、20191024日にアストロズによって解雇されました。今回の疑惑に関して調査員はトーブマンと面談を行い、彼もルーノーのようにサイン盗みの行為への関与を否定しました。アストロズの今回のMLB規則違反に対するトーブマンの過失を判断する必要はないと思います。これは、以下で説明するように、クラブハウスでのトーブマンの不適切な行為に対する重大な懲戒を課しているからです。

 

ジム・クレーン(アストロズオーナー)の責任

ジム・クレーンはチームが行なったMLB規則の違反を知りませんでした。 実際レッドソックスの違反が発表された後に、クレーンはルーノーにアストロズでは同様の行為が行われていないかを確認する必要があると語っていた。

下位レベルのアストロズのスタッフの中には、ルール違反を知っている人や、他の人の指示で違反に参加した人がいました。 これらのより若い従業員の行為が懲戒またはその他の是正措置に値するかどうかはアストロズに委ねます。

 

処分内容

アストロズとそのフロントオフィスの上級幹部の行動は重要な懲罰に値することがわかりました。この調査結果は20179月にフロントオフィスの上級幹部がサインの盗難に関するポリシー違反の責任を負うことを明確に通知し、彼らが2017年のポストシーズンおよび2018年のレギュラーシーズン中にチームの選手とスタッフがこの規定を遵守する事を確認するための行動を取らなかったという事実に基づいています。

ここに記載されている行為によりファン、プレーヤー、他のMLBチームのスタッフ、およびメディアはアストロズが参加したゲームの誠実さについての質問を提起しています。そして行為が実際にフィールドの結果に影響を与えたかどうかを判断することは不可能ですが、それが実際に行われたという認識はゲームに重大な損害をもたらします。

 

1.

チームは2020年および2021年のドラフトでの通常の第1順目及び第2順目での指名権を放棄します。チームがFA選手の獲得等により、ドラフト1巡目指名権等を失っている場合は翌年のドラフトで該当する指名権を没収するものとします。

2.

クラブはコミッショナーオフィスに500万ドルの罰金を支払いますが、これはMLBの規定で認められている最高額の罰金です。

 

1.

ジェフ・ルーノーは、2020113日から2020年のワールドシリーズの終了日の翌日まで無給で活動停止処分となります。ルーノーはアストロズまたはその他のメジャーリーグのチームに代わってサービスを実行したり、ビジネスを行ったりすることを禁じられています。ルーノーは、メジャーリーグ、マイナーリーグ、またはスタジアムを含むスプリングトレーニング施設に立ち入ることはできません。またチームと一緒にまたはチームを代表して旅行することはできません。彼の停職期間中コミッショナーオフィスは、このレポートに記載されている種類のインシデントが将来発生しないようにするために、ルーノーと適切な管理/リーダーシップトレーニングプログラムについて話し合います。またルーノーが将来MLBのルールの重大な違反に関与したことが判明した場合永久追放リストに掲載されます。

 

2.

AJ・ヒンチは、2020113日から2020年のワールドシリーズの終了日の翌日まで無給で活動停止処分となります。ヒンチはアストロズまたはその他のメジャーリーグのチームに代わってサービスを実行したり、ビジネスを行ったりすることを禁じられています。ヒンチは、メジャーリーグ、マイナーリーグ、またはスタジアムを含むスプリングトレーニング施設に立ち入ることはできません。またチームと一緒にまたはチームを代表して旅行することはできません。 ヒンチが将来MLBのルールの重大な違反に関与したことが判明した場合永久追放リストに掲載されます。

 

3.

20191019日のクラブハウスでの不適切な行為に基づき、ブランドン・トーブマンは、2020年のワールドシリーズ終了の翌日までMLBのビジネスに関与する事が出来ません。また2020年のワールドシリーズ終了の翌日には彼は復職を申し込む資格があります。トーブマンがMLBのルールの将来の重大な違反に関与していることが判明した場合、トーブマンは永久追放リストに掲載されます。

 

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MLB機構コミッショナー

ロバートD. マンフレッド, Jr.

 

参考:Statement of the Commissioner 

Photo BY:M&R Glasgow

 

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今朝発表されたアストロズのサイン盗みに関して、MLB機構のコミッショナーであるロブ・マンフレッド氏の署名入りの報告書(PDF全9ページ)を全文日本語でお伝えします。
Part4ではルーノーーGMやヒンチ監督の処分の理由等について触れています。

Part1こちら

Part2こちら

Part4こちらからそれぞれお読み頂けます。
 

III ルール違反に対するアストロズの選手及びスタッフの責任

 

アストロズが2017年と2018年に行なった相手チームのサインを解読し打者に伝える方法は、チームのフロントオフィスの上層部が主導になって計画や指示を行なっていたものではありませんでした。むしろ選手達がゴミ箱を叩いた2017年のサイン盗みの手法はアレックス・コーラ(BOS監督)を除き、選手達が主導権を握り選手達が実行したものでした。

またアストロズのリプレイレビュールームスタッフがセンターフィールドカメラを使用してサインを解読しようとする試みは、アストロズの選手やコーラと協力して働くフロントオフィスの下位スタッフによって始められ実行されました。

 

リプレイレビュールームのスタッフが関与した取り組みはジェフ・ルーノー前アストロズGMに送信された少なくとも2つの電子メールで言及されており、このテーマに関してルーノーが説明した内容とは矛盾する証拠があります。 

ルーノーが実際にどれだけこれらのサイン盗みを知っていたかとは関係なく、2017年と2018年のアストロズのルール違反はチーム内にルールを遵守する文化を確立して、ルールに違反する事が発生するとすぐにそれを止めるようにスタッフを適切に管理する事を怠ったフロントオフィスのリーダーであるGMと現場の監督に原因があると私は考えます。

 

アストロズの選手達の責任

2017年のチームに所属していた野手のほとんどは、ゴミ箱を叩く方法から相手チームのサインに関する情報を得るかあるいは、サインの解読やゴミ箱を叩く役割を担う事で他の選手を助けていました。面談を行なった選手の多くは、サイン盗みという行為が公正な競争を阻害するものでMLBのルールにも違反しており一線を超えた行為であることからサイン盗みを行なった事は間違いであると認めた。選手達は、監督であるAJ・ヒンチが彼らにサイン盗みを止めるように言ったならば、すぐに止めていたと主張していました。

 

アストロズの選手達はヒンチ監督や他のアストロズのスタッフから彼らが行なっていることを隠そうとはしませんでしたが、他のチームのプレイヤーに見つかる事を心配していました。 当時ホワイトソックスの投手ダニー・ファーカーがゴミ箱の存在に気付いたように見えた後、アストロズのダグアウトがパニック状態になっていたと数人のプレイヤーが調査官に話しました。 その試合が終了する前に、アストロズの選手達がトンネル内の壁からモニターを取り外し、オフィスに隠しました。 ポストシーズンでは、ダグアウト近くの壁に取り付けられていたモニターの代わりに、テーブルにポータブルモニターが設置されました。

 

一部のアストロズの選手は捜査官にサインを盗む事が効果的であるとは思わず、むしろ打者にとって役に立つものではなく気を散らすものだと語った。 私はこのサイン盗みという行為がアストロズの打者(間違いなく非常に才能のあるグループ)を助けたのか、アストロズが試合に勝利する事を助けたのかを評価する立場にはありません。

試合の結果に影響を与える要因は非常に多く、サイン盗みが試合の結果に有用なものであったかは分かりません。しかしサイン盗みが有用であったかどうかに関係なく、それはルールに違反し、少なくとも客観的に見れば不公平に見えます。そのために厳しい処分が必要です。

 

私はアストロズの個々の選手に対する処分は決定しません。20179月に、この種の不正行為に対する責任をチームのGMと監督に課すことを決定しましたが、(今回も)その決定から逸脱することはありません。 この種の行為に対する選手の処分を決定することは難しく、非現実的です。ほぼすべてのアストロズの選手がこのサイン盗みに関与または事情知っているため、私は調査記録に基づいて責任を負うべきすべての選手やその相対的な過失の程度を確実に決定する立場にないため、(処分を決定する事は)困難です。多数の選手が関与しておりそれらの選手達の多くが現在他のチームでプレーしているという事実を考えると、(選手に処分を課す事は)非現実的です。

 

しかしもっと重要なのは、チームのGMと監督には選手がルールを理解しそれを順守することを保証する責任があるということです。 私たちのコミッショナーオフィスオフィスはチームに多くの詳細なルールと手順を伝えています。その多くは、サイン盗みに関するものも含め選手達に直接伝えられるわけではありません。 フィールドでのプレーを規定しているルールについて選手達に教育し、指導する事がチーム、そして今回のケースではGMと現場の監督の義務です。

今回のケースではチームのベンチコーチがサイン盗みに積極的に関与しており、チームの監督はその一連の行為を認識していました。(しかし)それを止めることは何もしなかったため、一部の選手達は自分の行動がチームによって容認されているだけでなく、 チームから推奨されているとも捉えました。 これはチームが行った不正行為であり、個人的に責任を負う個人を除き懲戒処分はチームに向けられます。

 

参考:Statement of the Commissioner 

Photo BY:Ian D'Andrea

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今朝発表されたアストロズのサイン盗みに関して、MLB機構のコミッショナーであるロブ・マンフレッド氏の署名入りの報告書(PDF全9ページ)を全文日本語でお伝えします。
Part2では2018年シーズンと2019年シーズンの違反についての部分(PDF4ページ途中まで)です。


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 2017年から2018年のオフシーズン中に、GM会議での議論を経てコミッショナーオフィスはリプレイレビュールームとダッグアウトを接続する電話がプレーに関してのチャレンジ以外の目的で使用されないように監視されることをチームに通知しました。さらに20183月ジョー・トーリ(MLB機構のChief Baseball Officer)はすべてのクラブに文書を発行し、電子機器を使用したサイン盗みに関する禁止事項を拡大すると伝えました。

 

 関連する部分を抜粋すると以下の通りである。

*****

 

メジャーリーグ野球規則1-1は、打撃練習が開始されてからはすべての選手、クラブハウススタッフ、および機器スタッフが、あらゆる種類のトランシーバー、携帯電話、「スマートウォッチ」(Appleウォッチなど)、ラップトップなどの電話または類似の電子機器を使用または所有することを禁止しています。コンピューター、タブレット、またはダッグアウト内またはその近く、ブルペンまたは競技場で、その他の通信デバイス。MLBR 1-1は、試合の開始から30分以内にクラブハウスでそのようなデバイスを使用することも禁止しています。禁止事項の中には、ベンチまたはブルペンにいる人が電子メッセージを受信できる電子機器を使用する事も含まれます。

 

チームのリプレイルームやビデオルームでのゲームフィードを含む電子機器は、対戦相手のチームのサインを盗む目的で試合中に使用することはできません。この点でMLBR 1-1は、「状況を問わず、サインを盗んだり、チームに競争上の優位性を与えるために設計された他の情報を伝える目的で電子機器を使用することはできません」と明示しています。クラブハウスまたはチームのリプレイまたはビデオルームにある機器を試合中に相手のチームのサインを解読するために使用する事は、明確にこの規則に違反します。試合中にリプレイまたはビデオルームの機器をそのような目的で使用したことが判明したクラブ(およびクラブのスタッフ)は、コミッショナーオフィスの懲戒処分の対象となります。

 

*****

2018年シーズンの前にMLB機構の承認を得て、アストロズはリプレイレビューシステムをリーグ全体の多くの球場の場合と同様にダッグアウトにずっと近いビデオルームに移動させました。 調査では、2018年にアストロズの選手達がゴミ箱を叩いてサインを伝える仕組みを使用したという証拠は見つかりませんでした。しかしアストロズのリプレイレビュールームのスタッフは少なくとも2018シーズンの一部の間ライブセンターフィールドカメラフィードを使用して相手チームのサインを解読し、対面のコミュニケーションを通じてダッグアウトにサインを伝え続けていました。2018年シーズンのある時点でアストロズはリプレイレビュールームを使用してサインを盗む事を止めました。この調査では、2018年のポストシーズン期間中にアストロズが電子機器を利用してサインを解読および送信しようとする試みは発見されませんでした。

 

2019年シーズンの前にコミッショナーオフィスはサイン盗みを管理するために改訂した方針を発行しました。この方針にはルール違反が発生しないようにするために、クラブのリプレイレビュールームにコミッショナーオフィスによって派遣されたスタッフを配置する事も含まれています。(この対応は2018年のポストシーズンに始まりました)また調査により、2019年シーズンまたは2019年ポストシーズンのアストロズによるルール違反はないことが明らかになりました。

また2016年から現在まで他のチームのサインを解読するためにアストロズが上記以外の方法を使用したという事実は明らかにされませんでした。

参考:Statement of the Commissioner 
 Photo BY Neon Beer Signs For Sale

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今朝発表されたアストロズのサイン盗みに関して、MLB機構のコミッショナーであるロブ・マンフレッド氏の署名入りの報告書(PDF全9ページ)を全文日本語でお伝えします。
まずは2017年シーズンの違反についての部分(PDF3ページ途中まで)です。

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Part4こちらからそれぞれお読み頂けます。

2019
1112日、元アストロズの選手であるマイク・ファイヤーズは、The Athleticのケン・ローゼンタールとエヴァン・ドレリックが公開した記事で、2017年にアストロズがMLBのルールに違反するサイン盗みに関与したと公言しました。この記事の申し立てによって、多くのファンや他のMLBクラブの間で、MLBに関与する人々の規則の順守やスポーツマンシップと公正な競争の原則に関する重大な懸念が起こりました。この申し立てを最大限に真剣に扱い、調査部(DOI)に徹底的な調査を行うよう指示しました。私は、何が起こったのかについて、ファンとチームの透明性が非常に重要であると信じています。

 

最初に私たちの調査を通して、アストロズのオーナーであるジム・クレーンがこのレポートに記載されている行為を知っていたという証拠はまったくなかったと明記します。クレーンは、チームのメンバーの行動に非常に悩まされ、動揺し、私の調査を完全にサポートし、要求されたすべての情報への自由なアクセス権限を与えてくれました。

 

調査は、DOIのブライアン・ゼーリーとモイラ・ワインバーグが主導しました。両者は、野球の運営に関する問題を調査した経験が豊富にある人物です。 この調査は2016年から現在までの期間を対象としています。 調査中、DOI23人の現在およびかつてアストロズに所属していた選手を含む68人の関係者と面談を実施しました。 一部の証人は複数回面談を受けました。DOIは、何万もの電子メール、Slackの通信、テキストメッセージ、ビデオクリップ、写真もチェックしました。 アストロズは調査に全面的に協力し、要求されたすべての電子書類を作成し、要求されたすべての人物が面談に応じるようにしました。 リクエストに応じて、捜査のために特定のアストロズの従業員は携帯電話を提供しました。我々はアストロズとその関係者に、この問題に関連する証拠を提出し、私や私のスタッフにこの問題に関して議論を提示する機会を提供しました。

 

以下では、今回の調査の結果とアストロズと特定の個人を懲戒するという私の決定の根拠について説明していきます。

 

 I. 2017年シーズンのルール違反について
 

2017年シーズンの初めに、アストロズのビデオリプレイレビュールームのスタッフは、中央のフィールドカメラからのライブゲームフィードを使用して、アストロズの走者が2塁にいたときに使用する相手チームのサインを解読して送信を始めました。 サインが解読されると、ビデオリプレイレビュールームのスタッフが情報伝達係として機能してダッグアウトに情報を中継し、ダッグアウトにいる人物がダッグアウトの選手に伝えるか、ランナーにサインを伝えました。またシーズンの早い時期に、アストロズのベンチコーチ(当時)であるアレックス・コーラ(BOS監督)は、サイン情報を取得するためにリプレイ電話を使ってリプレイレビュールームに電話をかけていました。 少なくとも複数回リプレイレビュールームのスタッフは、テキストメッセージでサインに関する情報をダグアウトに伝えました。

 

2017年シーズンが開幕してから約2か月後、カルロス・ベルトラン(NYM監督)を含む選手グループは、チームが相手チームのサインを解読し、サインを打者に伝えることができると話し合いました。コーラは、ビデオルームの技術者が、アストロズのダッグアウトのすぐ外側にセンターフィールドカメラフィードを表示するモニターを設置するよう手配しました。 (センターフィールドカメラは主にプレイヤーディベロップメント目的で使用され、その目的での使用はMLBルールの下で許可されていました。)目撃者は、モニターの使用方法についてほぼ一貫した説明をしています。1人以上のプレイヤーがモニターでセンターフィールドカメラのライブフィードを視聴し、サインを解読した後、プレイヤーは近くのゴミ箱をバットで叩いて、次の球種を打者に伝えます。 (目撃者は、拍手、口頭、または大声でサイン情報を通信することを最初に実験したが、最終的にゴミ箱を叩くことが通信の好ましい方法であると判断したと説明しました。)選手達は時々、マッサージガンを使用してゴミ箱を叩きました。一般に、1つまたは2つのバン(ゴミ箱を叩く音)は特定のオフスピードピッチに対応し、速球に対してはゴミ箱が叩かれませんでした。

 

目撃者は一貫してこのサイン盗みを選手主導であると説明しており、コーラを除いて、ビデオリプレイレビュールームの選手でないスタッフは関与していませんでした。 しかし目撃者は、アストロズのダグアウトの近くにいるすべての人が、おそらくその行為を見たり聞いたりしたことも明かしています。 

ダッグアウトの近くに設置されたモニターを使用してサインを解読する選手に加えて、アストロズのリプレイレビュールームのスタッフは、部屋のモニターを使用してサインを解読し、ランナーが2塁にいたときに使用するためにそれらのサインをダグアウトに伝え続けました。2017年シーズンを通じて、チームは両方の方法でサイン盗みを行なっていたのです。

 

20178月レッドソックスは、リプレイレビュールームからスマートウォッチを着用しているダッグアウトの個人にサイン情報を送信している事が判明しました。 この事件はメディアから大きな注目を集め、2017915日にプレスリリースを発行して、レッドソックスに対する罰金を発表しました。

 

まず重要な事は、相手のキャッチャーが使用しているサインを解読しようとする試みはメジャーリーグの野球規則の違反ではないという事です。 しかしメジャーリーグの野球規則は試合中の電子機器の使用を禁止しており、そのような電子機器は「サイン盗みやチームに有利な情報を伝える目的で使用することはできない」と規定されています。 テクノロジー特にリプレイプロセスで使用されるテクノロジーの普及により、電子機器の適切で不適切な使用を監視することがますます難しくなっています。 それにもかかわらずコミッショナーオフィスによる調査に基づいて、2017年のシーズン中レッドソックスはビデオリプレイルームからダッグアウトのアスレチックトレーナーに電子通信を送信することにより、上記の規則に違反したと結論付けました。

 

レッドソックスの調査結果を発表するプレスリリースの発行に続いて、私はその日にすべてのチームに文書を発行しました。サインを盗むための電子機器の使用に関する規則を繰り返し伝えて、(違反した場合は)コミッショナーオフィスで厳正に対処すると伝えました。文書ではチームのGMと監督が将来の規則違反に対して責任を負うと明確に述べました。 したがって2017915日の時点で、すべてのチームは電子機器を使用してサインを盗むことは、コミッショナーオフィスにより厳しく対処されると分かっていました。

 

レッドソックス事件に関連した騒動とすべてのチームに送った915日の文書にもかかわらず、アストロズはリプレイレビュールームとダッグアウトの隣にあるモニターの両方を使用して、レギュラーシーズンの残りの期間とポストシーズンを通して、サイン盗みを続けました。

Photo BY CMy23 

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今日は小さな動きがポツポツとありました。ナッツの補強はかなり順調ですね。

 

①スターリン・カストロが2$12Mでナショナルズと契約

昨年はマーリンズに所属していたカストロが、同地区のナショナルズに移籍。ブルワーズも獲得を狙っていたが、最終的にはデイビー・マルティネス監督率いるナショナルズでプレイしたいと思った事が決め手になったようです。

 

マルティネス監督はカブスでコーチ歴もあるし、カブス時代の同僚から評判を聞く機会もあったのかもしれません。後はコンテンダーを追われる形で放出された過去があるから、コンテンダーで戦いたい思いが強かったのでしょう。

 

カストロは1990年生まれの野手では唯一MLB10年戦っている選手で、コンタクト能力に長けています。実際同年生まれではホセ・アルテューベを上回り最多の1617安打を放っています。一方で選球眼や長打力はそれほどではありません。ただしキャリア10年でrWARがマイナスを記録したのが1年だけですから、チームにプラスの価値をもたらす選手なのは間違いないです。

 

ナショナルズはカストロを2塁で起用するようなので、ジョシュ・ドナルドソン獲得競争からは撤退しないとの事。ドナルドソンには、ツインズとブレーブスとナショナルズが4年契約を提示しておりおそらくこの3チームに絞られたのではないかと個人的には思います。

 

またナショナルズはデビッド・ヘルナンデスとのマイナー契約も発表しました。

 

②マーリンズがパット・ベンディットとマイナー契約

STへの招待付きです。34歳でMLBでのキャリアも乏しい選手ですが、今季から導入される最低打者3人と対戦するルールのもとでは重宝される可能性がありそうと指摘されています。

 

ペンディットは両投げなので、左右どちらの打者が来ても対応できるという意味では面白い補強です。またMLBでは結果を残していませんが、昨年も25試合の登板で防御率2.85AAAでは好成績を残しています。

 

③ロッキーズがクリス・オーウィングスとマイナー契約

STへの招待付きでMLBロースターの枠を掴めば、$1M貰える契約です。2009年のドラフト1(全体41)Dバックスに入団した選手で、有望株として長年期待されていました。しかしキャリアでOPS.750を超えた年がなく、2018年オフにノンテンダーFAとなりました。

 

その後ロイヤルズと契約して再起を期しましたが、期待に応えられず。守備も平均程度ですが、ノーラン・アレナド放出の噂もあるロッキーズなのでチャンスはある程度あるかと思います。

 

④ジャイアンツがタイソン・ロスとマイナー契約

STへの招待付きで、MLBロースターに入れば$1.75M+プラスインセンティブ$1.75Mの契約です。投げられれば一定以上の成績を残すが、故障が多いという印象です。昨年はタイガースで7試合に投げて防御率6.11で、6月以降は故障で登板機会もありませんでした。地元であるベイエリアに戻っての活躍に期待です。

 

⑤オスカー・コラスがMLBチームとの契約を求めて亡命

コラスは現在21歳。ソフトバンクの2軍でプレイしていた選手ですね。まだ1軍でのプレイがない選手ですが、Baseball Referenceでは2軍での成績を1軍での成績と区別がつかないように載っています。

 

これは結構ミスリード感があるし、キューバの大谷翔平との表現も見ましたが流石にこれは過大評価かなと正直思います。

 

Photo BY Ian D’Andrea

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今日は動きが多い1日でした。アメリカは年始に休暇を取る文化がないそうで、早速2日から動きがあるからみたいですね。

 

①ルイス・ロバートがホワイトソックスと6$50Mでの契約に合意。

契約の詳細は以下の通り。

2020

$1.5M

2021

$3.5M

2022

$6M

2023

$9.5M

2024

$12.5M

2025

$15M

バイアウト(2026)

$2M

バイアウト(2027)

$2M

(2026)

$20M

(2027)

$20M

ロバートは現在MLB公式サイトのプロスペクトランキングで全体3位のプロスペクト。キューバ出身で亡命を経て2017年にホワイトソックスと契約。その当時のサインボーナスが$26Mである事からも分かりますが、元々超トッププロスペクトと目されていました。

 

その後2018年に本格的にプロデビューしましたが、故障もありシーズンは微妙な成績でした。ただその後秋のアリゾナフォールリーグでは素晴らしい成績を残しました。

 

そして昨年2019年は一気に階級とスターダムを駆け上り、プロスペクトランキングもグングン上昇しました。既にAAAでプレイしていますが、今回の契約で開幕MLBが濃厚になってきました。本人も記者会見で自信満々のコメントを残しています。

 

今回の契約延長で、ロバートは史上5人目のMLBデビュー前に長期契約を結んだ選手になりました。またホワイトソックスでは、昨年のイロイ・ヒメネスに続き2人目になります。

 

ロバートの今回の契約延長に伴い、ホワイトソックスはチームのコアがさらに強化されました。以下のジェフ・パッサンのツイートでも言及されていますが、主力の多くが最低でも2023年まで4シーズン以上保有できる状態です。さらにMLBデビュー前のニック・マドリガルやアンドリュー・ボーンもいますから、本当に楽しみです。


またチームが期待するようにロバートが開幕をMLBで迎えれば、ノマー・マザーラとヒメネスと共に過去20年間で2例しかない外野手3人が25歳未満になります。残り2例は以下の通りです。


②ウィル・ハリスが3年$24Mでナショナルズと契約

アストロズからFAになっていたリリーバーのハリスがナショナルズ移籍となりました。ワールドシリーズで敗れた相手、しかも自身が逆転HRを打たれたナショナルズへの移籍は驚きましたが、ナショナルズはオフの初めからアプローチしていたようでそれが実る形になりました。

 

昨年は68試合に登板して、防御率1.50と絶好調でした。35歳の年齢は不安要素ですが、安定した成績を残してきた選手であり過度の心配は不要ではないかと思います。ハリスはアストロズ時代の同僚ライアン・プレスリーの結婚式に出席後急遽ワシントンに向かい身体検査を受けたそうです。

 

一方で気になるのはアストロズで選手が大量に流出するのに対し、獲得したのが捕手のダスティン・ガーノーだけと寂しい結果となっています。

 

③ジェイソン・カストロが1$6.85Mでエンゼルスと契約

ツインズからFAになっていたカストロには、古巣のアストロズ等も興味を寄せていましたが最終的にはエンゼルスが新天地に決まりました。

 

カストロは打撃での貢献は限定的ですが、守備ではフレーミングでプラスの数値を出すなど投手の能力を引き出す事が出来る選手です。起用は既にチームに所属しているマックス・スタッシとの併用が濃厚です。

 

④ヤンキースのドミンゴ・ヘルマンが81試合の出場停止処分

DVで逮捕されたヘルマンへの処分が発表されて、81試合の出場停止となりました。ただし2019年シーズンで既に18試合処分を紹介しており今季は初めの63試合に出場できなくなりました。

 

またSTへの参加も禁止となり、最短復帰は65日のレイズ戦となりました。昨年はプレーオフでの出場も禁じられましたが、今季ヤンキースが復活した場合はプレーオフでの出場は認められます。

 

⑤ドジャースはリンドーアよりベッツに興味ありか

このオフの補強がほぼないドジャースですが、今日に入り噂されているリンドーアよりもレッドソックスのベッツへの関心が高いとMLB公式サイトが報じています。

 

ドジャースには既に外野手がかなりいるので、もしベッツの獲得が実現すると既にMLBデビューしている選手も動きそうで大型トレードになる事は確実でしょう。

 

⑥ブレーブスがドナルドソンに4年契約を提示

ブレーブスからFAとなったドナルドソンには既に、ツインズとナショナルズが4年契約を提示したと伝えられています。流石に5年以上を提示する球団はないと思いますので、後は金額等で移籍先が決まると思います。

 

⑦マット・デビッドソンがレッズとマイナー契約で合意

ST招待付きの契約です。2017年から2018年にかけて2年連続20HR超えもノンテンダーFAとなり、昨年はレンジャーズとマイナー契約。また二刀流を始めるという事で話題になりましたが、MLBでの出場試合0と最悪の結果になってしまいました。現時点ではレッズでも二刀流を続けるのかは不明です。

Photo BY Arturo Pardavila III 

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