MLBの読み物

MLB(メジャーリーグ)の少しマニアックな情報を発信するサイトです。

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いきなりですが、下のアストロズの有望株J.B.ブカウスカスの投球動画をご覧ください。この動画と他の投手のブルペンでの投球練習との違いにお気づきになりましたか?


 そうです。ブカウスカスの後ろに青いカメラが設置されています。このカメラこそが現在アメリカ・メジャーリーグの各球団が導入しているハイテク機器です。

 

次にこちらも見てみてください。こっちはエンゼルスのトレバー・ケーヒルの投球練習の動画です。マウンド少し前方に何か機器が設置されています。


 

今回の記事ではこの2つのMLBの投手達のトレーニング方法や試合への準備を大きく変化させうるハイテク機器について紹介したいと思います。今回も参考にするのはこの方MLB公式サイトのマイク・ペトリエッロ(Mike Petriello)氏の記事です。

リンクはこちら

 

 

———このハイテク機器の名称は?———

 

これら2つのハイテク機器はそれぞれエッジャートロニック(Edgertronic)社製のハイスピードカメラとRapsodo社製の3Dトラッキングシステム 「Rapsodo Baseball」です。

 

———これらの機器で何が出来るのか?———

これら2つの機器で出来る事は微妙に異なります。

 

Edgertronic1秒間の映像を1000分の1に細かく分解して、超スローモーションの動画を作成する事が出来ます(動画ですが、実際にはほぼ画像の連続です)

投手の投球動画を超スローモーション再生する事で、投手のボールの握りや実際のボールの回転そしてボールの変化を従来のカメラよりも遥かに詳細に分析できます。

 

このように肉眼で捉える事が到底できない分析が可能になる事で、投手は自身のボールをより効果的にするためにはどうすればいいかを瞬時に知る事が出来ます。さらに副産物として、予想外に上手く変化したボールの動きやグリップを再検証できる効果も期待されています。

 

ベースボール・アメリカのJJ・クーパーによると、今年2019年のSTでは実に28球団がこのカメラを採用しているようです。下にツインズのトレバー・メイがTwitterに投稿していたEdgertronicの超スローモーション映像を貼っておきますので、見てみてください。


 

 

Rapsodo Baseballでは投手が投げた全てのボールを解析して、球速、回転数、変化量、回転軸等の情報を瞬時に提供します。そして得た情報をタブレットの専用アプリで共有して投球を改善していきます。

 

Rapsodo Baseballについてはより詳しい動画がありますので、こちらを参照ください。

下にはドジャースのケンリー・ジャンセンが実際にタブレットを見ている瞬間が捉えられています。 


 

 

———新たな機器投入による付随効果———

最新鋭の機器が投入される事で、良い面は多いですが同時に問題やトラブルも少しあります。

 

まず1つ言えるのは、球団間で最新機器の投入スピードが異なる点。昨年の夏にマニー・マチャド(SD)やジョナサン・スコープ(MIN)と交換でオリオールズに移籍した有望株のディーン・クラマーとルイス・オルティズは、以前の所属球団で受けていたハイテク機器がオリオールズには無かったので戸惑ったとコメントしています。

結果的にオリオールズでは昨年ベテラン右腕のアレックス・コブの進言によりこれらの機器が購入されたようです。

 

次に、急速なハイテク機器の使用法を選手に説明して利用してもらう事の難しさです。小さい頃から野球を続けてきた選手が最新の情報に必ずしも納得できるかは個人差があります。トレバー・バウアー(CLE)のようなタイプは受け入れてどんどん最新機器を取り入れています。

 

一方で急速な機器の発達に戸惑う選手もいます。そんな選手達に、データの重要性や解釈の仕方を手ほどきするスタッフ・コーチも現在急増しています。彼らは元野球選手や大学野球の投手コーチ等様々なバックグラウンドを持っており、従来のコーチ像とは一線を画しています。

 

これは元記事には掲載されていない話ですが、この分野でもアストロズは先進的です。傘下のマイナー各チームに、選手にデータ活用の方法を説く指導者を他球団より先駆けて配置しています。その中には日系人の方も含まれています。

 

 

———最新鋭の分析のメッカ アストロズ ———

最後にこれらハイテク機器を他球団より先に導入していたチームについても触れておきましょう。

そう、アストロズです。前述のEdgertronic2年前2017年に導入していたチームはアストロズだけでした。彼らは秘伝のレシピを持っているように、移籍してきた投手の才能を引き出します。バーランダーも移籍後にハイスピードカメラを利用して、投球を改善しています。現在アストロズで経験を積んだ人材が、他球団に移籍し始めています。そうして彼らの先端的なアイデアが広がりを見せていますが、他球団を出し抜く様子は抜かりなくまた新たな最新鋭の武器を用意するでしょう。

 

そして2017年時点でEdgertronicを個人単位で購入していた唯一の現役選手がトレバー・バウアーでした。彼はその後成績を伸ばしており、改めてその研究好きな一面が強調されるエピソードと言えるでしょう。

 

 

最新鋭の分析を用いる事で成績を向上させる選手が誰なのかにも注目しながら残りのST期間やシーズンを楽しんでみるのも面白そうですね。

Photo By Erik Drost 

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このページでは、MLBを理解する上で不可欠な用語の1つ
年俸調停を紹介します。

 

MLB公式サイトの解説を中心に見ていきたいと思います。

 

①年俸調停の対象者

MLBでのサービスタイムを3年以上6年未満保有している選手はそのシーズンのオフに球団との年俸交渉で調停権を得ます。特例で3年未満のサービスタイムを持つ選手も年俸調停の権利を得られます。

 

②年俸調停の仕組み

球団と選手がそれぞれの希望額を提示して交渉を行う

(期限は1月中旬)

交渉がまとまらない場合両者が希望額をお互いに提示

公聴会で第三者によって年俸額が決定される

(どちらかの提示金額が採用されるので妥協額等は提示されない)

 

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参考リンク

http://m.mlb.com/glossary/transactions/salary-arbitration

Photo BY
Keith Allison 

 

 

 

 

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このページでは、MLBを理解する上で不可欠な用語の1つ
FAを紹介します。

 

MLB公式サイトの解説を中心に見ていきたいと思います。

 

FAとは

FAは略語であり正式名称はフリーエージェントと呼ばれています(日本でもお馴染みですね)FAになると選手は全球団との契約交渉を自由に行えます。

 

FAになる方法2パターン

FAになる方法は2つあります。それぞれを見ていきます。

(1)サービスタイムが6年越えた場合

このパターンはサービスタイムのページで詳しく扱ったので参照ください。

 

(2)サービスタイムは6年に到達していないが、チームからリリースされた場合

チームからリリースされるというのは言い換えると、そのチームの組織全体から放り出される様子です。リリースについても別ページで扱っていますので参照ください。

こちらの場合気をつけないといけないことがあります。それはリリースされた選手が他球団と契約した場合も選手はサービスタイムを6年以上分貯めるかリリースされないとFAになれない点です。こちらについては字面では難しいので下に実例を示します。

 

③実例

トニー・シップ(アストロズ)20145月にパドレスからリリースされます。彼はその時点でサービスタイムを4年以上5年分保有していました。リリース直後にシップはアストロズと契約。シーズン終了までアストロズでプレイしました。しかし彼のシーズン終了時点でサービスタイムは合計で6年に到達していませんでした。この状態では上記(2)のケースが適用されて彼はFAにならずに翌年もアストロズが彼の保有権を得ます。

 
 
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参考リンク

http://m.mlb.com/glossary/transactions/free-agency

 

Photo BY

Keith Allison

 

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このページでは、MLBを理解する上で不可欠な用語の1つサービスタイムを紹介します。

 

MLB公式サイトの解説を中心に見ていきたいと思います。

 

①サービスタイムとは

選手はMLB30球団の25人ロースターに登録されているまたはMLB30球団の故障者リストに登録されている日は1日ずつサービスタイムを受け取ります。イメージとしては、ゲームのログインボーナスが分かりやすいと思います。

 

2018年ですと開幕から閉幕までMLBで過ごすと187日分のサービスタイムを取得できました。現在の2021年までのMLB選手会と機構側の協定では薬物摂取で出場停止を受けた場合最終的に出場停止試合数が20以上減らない限り出場停止期間はサービスタイムを得ることが出来ません。

 

FAになるためには

サービスタイムは172日分を蓄積すると1年分にカウントされます。これが6年分蓄積すると選手はそのシーズンの終了時にFAになる権利を得ます(翌年以降の契約を所属球団と結んでいる場合は除きます)

 

③年俸調停権を得るためには

サービスタイムが3年分蓄積すると選手はそのシーズンの終了時に年俸調停権を得ます。またシーズンをサービスタイムの蓄積が2年以上3年以下で終えた選手でかつそのシーズンに86試合以上のサービスタイムを蓄積した選手を対象とする年俸調停権を得ます。対象者上位22%(基準はサービスタイム)に入った選手はサービスタイムの蓄積が3年に到達していなくても年俸調停権を得ることが出来ます。これは通称“スーパー2”と呼ばれる仕組みです。

 

④その他

サービスタイムは以上の事以外でも重要になります。例えば以前紹介した10-and-5 rightsはサービスタイムを10年以上持っていることが適用条件の1つになっています。

 

参考リンク

http://m.mlb.com/glossary/transactions/service-time

Photo BY
Minda Haas Kuhlmann 

 

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このページでは、MLBを理解する上で不可欠な用語の1つ
リリース(リリース・ウェーバー)を紹介します。

 

MLB公式サイトの解説を中心に見ていきたいと思います。

 

①リリースとその手続き

リリースはリリース・ウェーバーを経て完了します。リリース・ウェーバーで他球団がその選手を獲得したいと申し出れば選手は指名球団に移籍します。リリースが完了すれば選手はFAになります。またその選手が所持していた契約額でまだ契約期間が残っている場合の給料はリリースしたチームが全額負担します。

 

②リリースとDFAの違いは?

MLBの細かい用語の中でも特に違いが分かりにくいのがこの2つの単語ではないでしょうか?

 

チームがDFAを行う背景には、枠の関係である選手を40人枠から外す必要があるが、伸びしろやチームの戦力の層を考えるとチームに残って欲しいという思惑があります。

 

一方でチームがリリースを行う場合には、その選手をチームから完全に放出したいという思惑があります。選手は1人でも多くいた方が良い感じがします。以下では何故チームがリリースを行うのかについてその理由を説明します。

 

③なぜチームは選手をリリースするのか?

チームが選手を40人枠から外す時にはまずアウトライト・ウェイバーにかけます。そこで他球団から指名がなければその選手が降格を拒否しない限りチームはその選手をマイナーに降格させる事が出来ます。

 

以上の流れを頭に入れると、チームが選手を組織全体から放出するリリースを選択するのは不思議な感じがします。何故なら選手をマイナーに降格させて復調したりMLBで故障者が出れば、その選手をマイナーから昇格させる事が出来るからです。

 

リリースの対象になる選手の典型的なイメージは大型契約を結んだが不良債権化したベテラン選手です。

 

マイナーリーグのチームのロースターにもMLBの場合と同様に人数制限があります。若手主体のマイナーリーグのチーム構成で、MLB経験豊富なベテランに復調の機会を与えるためにポジションを与えるよりも伸び盛りの若手に出場機会を与える方がチームの将来を考えると大きなメリットを生むとも考えられます。

 

確かに億単位の契約を抱える選手を年俸負担でリリースするのは勇気のいる決断ですが、復調の兆しの見えないベテランに枠を与えるよりも若手にチャンスを与えようという考えがその背景にあると言えます。

 

 参考リンク

http://m.mlb.com/glossary/transactions/release-waivers

Photo BY
guano 

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このページでは、MLBを理解する上で不可欠な用語の1つアウトライト(アウトライト・ウェイバー)を紹介します。

 

MLB公式サイトの解説を中心に見ていきたいと思います。

 

①アウトライト・ウェイバーを球団が利用する目的

アウトライト・ウェイバーを球団が利用する目的は主に2点です。

 

40人枠から選手を外すが、その選手をマイナーにキープしておきたい

・オプションがなくなった25人ロースターの選手をマイナーに降格させたい

 

②アウトライト・ウェイバーの手続き

アウトライト・ウェイバーの手続きには主に2つの結果があります。それぞれ図解します。 
 

(1)他球団がアウトライト・ウェイバーにかけられた選手を指名(クレーム)した場合
 

球団がマイナーに降格させたい選手を決定

その選手をアウトライト・ウェイバーにかける

  他球団から指名がある

他球団に選手は移籍*1

(2)他球団がアウトライト・ウェイバーにかけられた選手を指名(クレーム)しない場合
 

球団がマイナーに降格させたい選手を決定

その選手をアウトライト・ウェイバーにかける

他球団から指名がない

 選手は元の球団に残留

マイナー降格が決定

                             (一部選手は拒否権あり*2)

                        

 *1

移籍した選手の契約等は全額移籍先チームが負担

*2

拒否権を持つ選手については以下の③で説明

 

③アウトライトを告げられた選手が3年以上のサービスタイムを持っているor過去にアウトライトされた経験がある場合

 

以上の条件を満たす選手は球団からアウトライトを告げられてマイナー降格を命じられてもそれを拒否してFAになる事が出来ます。

しかしサービスタイムが3年以上5年以下の選手は自身に保障されている残りの契約を完全に放棄しなければなりません。

一方で5年以上の選手は、自身の契約を保障された状態でFAにもなる事が出来ます。

 

④実例

20155月にレッドソックスはアレン・クレイグを40人枠から外す決断をします。彼はその時点で残り$25.2Mの契約を抱えていました。

彼はまずウェイバーにかけられましたが、高額な契約もあり他球団は手を挙げませんでした。こうして彼のマイナー降格が決まります。

彼は3年以上のサービスタイムを持っていたので、マイナー降格を拒否してFAになる権利を持っていました。しかし彼のサービスタイムは5年に到達していなかったので、FAを選択した場合$25.2Mの契約を受け取れなくなるのです。

このような状況だったので、クレイグはAAAへの降格を受け入れました。

 

参考リンク

http://m.mlb.com/glossary/transactions/outright-waivers

 

Photo BY

Keith Allison

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このページでは、MLBを理解する上で不可欠な用語の1つ
DFAを紹介します。

 

MLB公式サイトの解説を中心に見ていきたいと思います。

 

DFAとは

DFAは略語であり正式名称はDesignate for Assignmentと呼ばれています。

DFAはチームが選手を40人ロースター(40人枠)から外すときに行われる手続きです。

40人ロースターについては以前紹介しました。リンクはこちら

 

DFAされた選手はどうなるのか?

DFAされた選手はその日から7日間以内に他球団にトレードされるかoutright waivers(アウトライト・ウェイバー)にかけられて他球団から指名(クレーム)されればそのチームに移籍します。

 

もし7日間以内にそのどちらにも該当しなかった場合チームはその選手をマイナーに降格(アウトライト)させるかリリースする事が出来ます。

 

しかしここでまたまた例外があります。

MLBでのサービスタイムを3年以上持っている場合or過去にアウトライトされた経験がある選手は上記の降格(アウトライト)を拒否してFAになる事が出来るのです。

 

③実例

20144月にブルージェイズはジェレミー・ジェフレス(MIL)DFA。彼はウェイバーで他球団からの指名(クレーム)を受けませんでした。

こうなるとブルージェイズはジェフレスをマイナーに降格あるいはリリースする事が出来ます。

しかしジェフレスは以前にアウトライトされた経験があったので、マイナー降格を拒否。結局FAになりブルワーズとマイナー契約を結びました。
 

参考リンク

http://m.mlb.com/glossary/transactions/designate-for-assignment

Photo BY
pmonaghan 

 

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