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現在のMLBでは従来のスカウティングよりも統計を中心に据えたデータ分析がチームの意思決定に活用されています。それを示すように各球団の編成トップはアイビーリーグに属する大学出身者のエリートが並びます。

 

そんなデータ中心時代にこそ必要とされる人もいる一方では、オールドスクール派でスカウト畑を歩んできた人の中にはMLB球団から解雇された人もいます。今回はその元スカウトのお話を紹介したいと思います。

 

今回紹介する記事はUSA TODAYのボブ・ナイチンゲール氏の記事でタイトルは「Opinion: Yankees pitcher to MLB scout to bench. One man's journey to get back to baseball.」です。

リンクはこちらです。

 

今回の物語の登場人物は元MLB選手のウェイド・テイラーさんです。MLB選手としては1991年にヤンキースの投手として23試合に登板。その後は故障もありMLBでの登板はありませんでした。

 

現役引退後はスカウトに転身されてヤンキースの1998年から2000年にかけての3連覇に貢献しました。その後91年にチームメイトだったドン・マッティングリー(MIA監督)の誘いもあってドジャースに移籍。さらにナショナルズとDバックスでスカウトを歴任しました。

 

しかしDバックスのチーム編成を担う上層部が2年前に一新されてトップにマイク・ヘイゼンを迎え入れたタイミングで職を失い現在は2年間MLBの仕事から離れています。

 

現在はUPSという運送会社での仕事のみしか収入がありません。貯金はなくなり選手年金も使い果たしました。現在は奥様も働いているようで、テイラーは非常に辛いと語っています。

 

そんな彼の逼迫した生活を支えているのが、PBSFと呼ばれるスカウト達の団体です。この団体の代表は現在ホワイトソックスのフロントオフィスに所属しているデニス・ギルバート氏が務めています。今週その団体の晩餐会が開催されて、テイラー夫妻もそこに出席しました。

 

このPBSFはスカウト達の寄付でお金を集めてテイラーを始めとしたここ数年で失職したスカウト達に経済的援助を行なっています。寄付で200万ドルを集めて昨年は約20人の元スカウトに援助を行なっています。

 

奥様のデビ・テイラーさんはナショナルズの試合などでレポートを行なっていた女性で12年前にテイラーと知り合いました。現在は11歳の娘の母をする一方で大学野球のレポーターをしてお金を稼いでいます。

 

テイラーは2017年にDバックスから解雇された後にどのチームからも声がかからず、その年の12月のウィンターミーティングでも仕事を探しましたが見つからず。警察官の仕事にも応募しましたが、当時53歳という年齢も関係して不採用となりました。現在はビジネスの勉強を進めていますが、本人もその勉強が何か成果をもたらすかは自信が持てずにいます。並行して知り合いの球団関係者に連絡を取りながら過ごしています。

 

テイラーは元同僚からも評判の良い人物でしたが、野球の急激な変化についていけず解雇されました。この記事の冒頭によるとここ数年で約100人のスカウトがレイオフ(一時解雇)されているようです。MLBのフロントオフィスと言えば、55000万ドル(50億円)の契約を結んだセオ・エプスティーン(カブス)のように華やかなイメージがありますが、その裏では苦しんでいる人もいることが分かる記事でした。テイラーが野球界に再就職できるように祈りながらこの文章を締めたいと思います。

Photo BY
Tracy Lee Carroll