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タンパベイ・レイズに所属する外野手のジョニー・デービスは家に帰りたくない日が何度もあり、家があるのかさえ分からない事もあった。

 

これは彼が育ったカリフォルニア州のコンプトンという地域での生活の話だ。彼と母親、そして2人の兄弟はホームレスの為の避難所を出たり入ったりしていた。また彼の父親は刑務所に出たり入ったりの生活を繰り返していた。食事を食べることさえままならない日もあった。ピーナッツバターは高価で手を出せなかったので、シロップ付きのサンドウィッチを食べた事もある。ラーメンの麺は安く手に入ったので、よく食べていたとも彼は振り返る。

 

そんな生活を送っていたデービスを救ったのは野球だった。

 

現在29歳のデービスは、3つの異なる高校、二年制大学、7年間のマイナー生活、そしてメキシコリーグと独立リーグを経て故郷カリフォルニアに彼自身も予想もしない形で戻ってきた。

 

今年の8月終わりにレイズとマイナー契約を結んだデービスは、MLBのチーム(レイズ)のユニフォームを着てドジャースタジアムに立っているのだ。

それでは彼がどのようにしてMLBに辿り着いたのかを見ていこう。

 

僅か3週間程前までデービスはメキシコリーグでプレイしていた。打率は.300を超え盗塁数は54に到達していた。しかし彼の代理人は2年前メキシコ行きを決めた彼に止めるよう伝えていた。メキシコに行けば、スカウト達の目に留まらなくなり忘れられた存在になるからだ。2年経って自分が周囲から忘れられた存在になったのかをデービスは考えていた。誰かが自分のプレイを見ていて、何か良い事が起こらないかとデービスは考えていた。

 

まさにその頃レイズはスピードのある選手とさらなる外野手の獲得を検討していた。彼らは、メキシコにスカウト人生で見てきた中で最も俊足の選手がいるとの報告をあるスカウトから受けた。

 

まさにこの男こそ、2013年にブルワーズから22巡目で指名を受けた時にベースボール・アメリカ誌からその時のドラフトで最速のベースランナーと評されたデービスだった。彼は2015年に十字靭帯を損傷して、野球選手としてのキャリアが終わったかもしれないとさえ思っていた。

 

レイズはその後スカウトを派遣して、彼のプレイを視察した。そして826日にデービスとマイナー契約を結んだ。その僅か6日後傘下AAAのチームに帯同していたデービスはチームメイトとホテルでゲームをしていた。そこで彼は長年待ち望んでいた言葉を聞いたのだ。彼は「ホテルにいた全員に聞こえるくらい大きな声で叫んだ。」とその時のことを振り返る。すぐに彼は婚約者にメッセージを送り、バス運転手として彼ら兄弟を女手一つで育てた母に電話を掛けようとした。しかし母の携帯電話は壊れていたので、兄弟に連絡を入れた。

 

それから彼の恩人であるジェラルド・ピケンスに連絡した。ピケンスについて「彼がいなければ俺はここにいない。今日こうしていられるのも彼のおかげだ。」とデービスは語る。

 

ピケンスはデービスの故郷コンプトンの聖人であり、MLB機構が主催するRBIプログラムを見つけてきた人物だ。デービスとピケンスの出会いはデービスが13歳の頃に遡る。デービスは母親から罰として野球をプレイすることを禁じされており、当時ほとんど野球をプレイしていなかった。当時のデービスは素行が悪く、何度もトラブルを引き起こしていた。さらに学校での成績も酷いものだった。

 

一方彼の弟タイリーは野球が好きだった。ある日タイリーはスカウトの前でプレイすることになり、足の速さで多くのスカウトの度肝を抜いた。しかしタイりーは肩をすくめ、兄のジョニーを紹介した。ジョニーはジーンズ姿でアップもせずに、50ヤードを5.90秒で走った。その後彼は球場でも1塁まで3.4秒で走ってみせた。新たなプロスペクト誕生の瞬間だった。

 

デービスはその後ピケンスとともに優れた野球選手になるためにトレーニングを始めた。彼らのトレーニング中に銃声が聞こえるような環境であり、ピケンスはデービスのことをとても心配していた。しかしデービスは心の底から改心して、努力を続けた。その後彼はブルワーズに指名されて、コンプトンを離れた。

 

その後2018年のシーズン途中に彼は自らブルワーズに自身をリリースするように求めた。そしてその後彼はメキシコに渡った。そして遂に彼はMLBに到達した。迎えた13日のエンゼルス戦、彼の両親やピケンスが見守る中彼は故郷の近くエンゼル・スタジアムで3塁打を放った。

 

現在デービスは主に代走として起用されている。これからMLBはプレーオフの季節に入っていく。レイズは現在プレーオフ圏内であり、もしプレーオフに進めばデービスの最大の魅力スピードを活かす機会もあるかもしれない。数年前のロイヤルズのテレンス・ゴアのようなスピードスターが活躍しやすい10月の舞台で、デービスが躍動する姿を見られるのが今から楽しみである。

 

参考:

https://www.usatoday.com/story/sports/mlb/columnist/bob-nightengale/2019/09/18/johnny-davis-tampa-bay-rays-mlb/2362594001/

 

Photo BY: Eric Kilby