MLBの読み物

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2019年09月

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MLBもプレーオフの季節になりました。毎年プレーオフで勝ち抜くために最も大切な要素は何かという話は議論されています。強力なブルペンなどは特に重要とされますが、今回は“プレーオフこそHRの重要性が高まるという話を紹介したいと思います。

 

今季はツインズが両リーグ最高の307HRを記録するなど、HRが激増しました。また2001年以降の19年間でチームHR数の上位10チームのうち、実に半数以上の6チームが2019年のチームです(ツインズ・ヤンキース・アストロズ・ドジャース・アスレティックス・カブス)

 

さらにオールスターゲームの前にアストロズのジャスティン・バーランダーが激しく批判していたように、MLB機構がいわゆる“飛ぶボール”を使っているのではないかとの声も多く聞かれます。

 

プレーオフなどの短期決戦では、バントや盗塁といった小技を駆使して成功したチームもあります。しかしこのように多くのチームがHR数を伸ばしていて、さらにボールがよく飛ぶと考えられている状況で勝つために大事なものは何でしょうか?それはズバリHRを打つ事です。

 

実際にアストロズでサイ・ヤング賞を最後まで争ったバーランダーとゲリット・コールのコンビは、2人合わせて1試合で2.25本しかシングルヒットを打たれていません。スモールベースボールを展開するためには、まず塁に出る必要があります。しかし上記の数字より今季の彼ら相手にはそれはとても難しいと言えます。

 

(1)

Team

1試合のシングルヒット

PO期間の合計バント数

SF(2014)

7.2

9

KC(2015)

6.3

4

CHC(2016)

4.9

1

HOU(2017)

4.6

1

BOS(2018)

5.6

2

 

1を見ても分かりますが、2014年にワールドシリーズを制覇したジャイアンツを最後に、シングルヒットやバントの数は減少傾向にあります。

 

(2)

シーズン

勝率

2003-06

.356

2007-10

.341

2011-14

.387

2015-18

.333

 

 

2に記される勝率は、プレーオフの試合でHRが出なかったチームの勝率です。HRが出ないと勝率が3割台にまで低迷しており、一気に低下する事は明らかだと言えます。

 

さらに、2015年から18年までの4年間の間でHRの数が0本あるいは1本のチームの勝率は.396でした。一方で2HR以上を記録したチームの勝率は.697になり、プレーオフで勝ち抜けるためには複数のHRを打つ事がいかに大事かがよく分かります。

 

今回の記事ではHRがプレーオフではより重要性が高まるという事を伝えたい訳ですが、シングルヒットやバントが無駄であるとは言っていません。HRをとにかく狙う野球とスモールベースボールのどちらかが絶対に優れていると言いたい訳ではないのです。

 

例えば昨年のレッドソックスとドジャースが対戦したワールドシリーズ第1戦の初回に、ムッキー・ベッツはシングルヒットを打ち塁に出ました。その後彼は盗塁を決めて、次の打者アンドリュー・ベニンテンディのタイムリーでホームに帰ってきました。

 

このようにシングルヒットや盗塁を駆使して得点を取る事も時には求められます。しかし複数のHRが出るとチームの勝率が高まるのは事実ですから、今年のプレーオフでは例年以上にHRに注目して観戦するのも面白いかもしれません。

 

参考:https://www.si.com/mlb/2019/09/23/new-york-yankees-la-dodgers-home-run-record

Photo BY: Ian D’Andrea

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MLB
もいよいよ明日でレギュラーシーズンが終了します。10月になると1日に行われる試合数も少なくなり、試合中継に有名なレポーターが登場する機会が多くなります。そんなレポーターを代表する存在が一際目立つ蝶ネクタイを着けたケン・ローゼンタール氏でしょう。彼はTwitterのフォロワーが100万を超えていて、MLB関連の移籍情報等を速報するのが早いことで知られています。ローゼンタール氏は今でこそ有料サイトThe Athletic でコラムを執筆していますが、その前はFox Sports で執筆活動を行なっていました。そこで今回は、彼が8年前にFox Sportsで蝶ネクタイを着けている理由を説明した記事を紹介したいと思います。

 

ローゼンタール氏は2010年のNLCSの最終戦が終わった後、フィリーズの本拠地を歩いている時に彼の当時の上司であったジム・バーナード氏からWSで蝶ネクタイを着用するようにと伝えられました。これは当時のFox Sportsの社長であるデビッド・ヒル氏からの直々の指令でした。

 

ローゼンタール氏自身も初めは戸惑い着用したくないと考えていたようです。しかし放送チームの和を乱したくないと考えて、最終的にこの指令を受け入れて2010年のWSで蝶ネクタイデビューを飾ります。蝶ネクタイは好評でしたが、Fox SportsWS期間限定の使用を考えていました。

 

そんなローゼンタール氏の元にダーニ・ジョーンズ氏から蝶ネクタイについて話したいとメールが届きます。ジョーンズ氏は元NFL選手で、蝶ネクタイを販売する会社を設立していました。そしてジョーンズ氏は様々なチャリティと手を組んでそれぞれのチャリティの方針やイメージに合わせた蝶ネクタイをデザインしていたのです。

 

そこで事情を知ったローゼンタール氏はチャリティの役に立ちたいと考えて、蝶ネクタイを2011年のシーズンから試合の放送がある日は毎回着用するようになったのです。

 

これがローゼンタール氏が現在も蝶ネクタイを着けている理由ですが、そもそも初めに着用するように言われた際に感じた戸惑いについても説明しています。

 

ローゼンタール氏は元々ボルチモアの地元紙でオリオールズ担当として1980年代にキャリアを始めました。その当時は紙の新聞の全盛期であり、新聞記者が自身の記事に個性を出す事はご法度とされていました。

 

しかしインターネットが世界を繋ぐ現代では紙の新聞の存在感は薄れつつあります。むしろスポーツ報道の中心はTVwebに移行しました。この現代の環境で記者に求められるものは80年代と真逆のものになってしまったのです。

 

つまり現代では記者の個性こそが重要になっているのです。実際にFox Sportsで記事を書く際には一人称()を使うように指示されたというエピソードも明かされています。もちろんこれは記者の個性を表現する為です。

 

さらにTVはまた違う難しさがあると綴られています。TVはショーであり、存在感が大事になるのです。ローゼンタール氏自身これを理解するのに時間がかかったと明かしており、現在(2011)も時々悩むとも語っています。

 

ローゼンタール氏は自身に関心が集まる事を嫌っていて、彼の家族も同様に蝶ネクタイを着ける事に反対しました。しかし実際に着用すると多くの反響があり、そのほとんどがポジティブなものだったそうです。 (終)

 

今回はMLB業界屈指の名物記者の最大の個性の誕生秘話を紹介しました。原文では今回のブログ記事で触れていない事も沢山書かれていますので、是非お読みください!

 

参考:https://www.foxsports.com/mlb/story/ken-rosenthal-to-wear-bow-ties-for-charity-during-mlb-on-fox-in-2011-season-032911

Photo BY: Bart Hanlon

 

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タンパベイ・レイズに所属する外野手のジョニー・デービスは家に帰りたくない日が何度もあり、家があるのかさえ分からない事もあった。

 

これは彼が育ったカリフォルニア州のコンプトンという地域での生活の話だ。彼と母親、そして2人の兄弟はホームレスの為の避難所を出たり入ったりしていた。また彼の父親は刑務所に出たり入ったりの生活を繰り返していた。食事を食べることさえままならない日もあった。ピーナッツバターは高価で手を出せなかったので、シロップ付きのサンドウィッチを食べた事もある。ラーメンの麺は安く手に入ったので、よく食べていたとも彼は振り返る。

 

そんな生活を送っていたデービスを救ったのは野球だった。

 

現在29歳のデービスは、3つの異なる高校、二年制大学、7年間のマイナー生活、そしてメキシコリーグと独立リーグを経て故郷カリフォルニアに彼自身も予想もしない形で戻ってきた。

 

今年の8月終わりにレイズとマイナー契約を結んだデービスは、MLBのチーム(レイズ)のユニフォームを着てドジャースタジアムに立っているのだ。

それでは彼がどのようにしてMLBに辿り着いたのかを見ていこう。

 

僅か3週間程前までデービスはメキシコリーグでプレイしていた。打率は.300を超え盗塁数は54に到達していた。しかし彼の代理人は2年前メキシコ行きを決めた彼に止めるよう伝えていた。メキシコに行けば、スカウト達の目に留まらなくなり忘れられた存在になるからだ。2年経って自分が周囲から忘れられた存在になったのかをデービスは考えていた。誰かが自分のプレイを見ていて、何か良い事が起こらないかとデービスは考えていた。

 

まさにその頃レイズはスピードのある選手とさらなる外野手の獲得を検討していた。彼らは、メキシコにスカウト人生で見てきた中で最も俊足の選手がいるとの報告をあるスカウトから受けた。

 

まさにこの男こそ、2013年にブルワーズから22巡目で指名を受けた時にベースボール・アメリカ誌からその時のドラフトで最速のベースランナーと評されたデービスだった。彼は2015年に十字靭帯を損傷して、野球選手としてのキャリアが終わったかもしれないとさえ思っていた。

 

レイズはその後スカウトを派遣して、彼のプレイを視察した。そして826日にデービスとマイナー契約を結んだ。その僅か6日後傘下AAAのチームに帯同していたデービスはチームメイトとホテルでゲームをしていた。そこで彼は長年待ち望んでいた言葉を聞いたのだ。彼は「ホテルにいた全員に聞こえるくらい大きな声で叫んだ。」とその時のことを振り返る。すぐに彼は婚約者にメッセージを送り、バス運転手として彼ら兄弟を女手一つで育てた母に電話を掛けようとした。しかし母の携帯電話は壊れていたので、兄弟に連絡を入れた。

 

それから彼の恩人であるジェラルド・ピケンスに連絡した。ピケンスについて「彼がいなければ俺はここにいない。今日こうしていられるのも彼のおかげだ。」とデービスは語る。

 

ピケンスはデービスの故郷コンプトンの聖人であり、MLB機構が主催するRBIプログラムを見つけてきた人物だ。デービスとピケンスの出会いはデービスが13歳の頃に遡る。デービスは母親から罰として野球をプレイすることを禁じされており、当時ほとんど野球をプレイしていなかった。当時のデービスは素行が悪く、何度もトラブルを引き起こしていた。さらに学校での成績も酷いものだった。

 

一方彼の弟タイリーは野球が好きだった。ある日タイリーはスカウトの前でプレイすることになり、足の速さで多くのスカウトの度肝を抜いた。しかしタイりーは肩をすくめ、兄のジョニーを紹介した。ジョニーはジーンズ姿でアップもせずに、50ヤードを5.90秒で走った。その後彼は球場でも1塁まで3.4秒で走ってみせた。新たなプロスペクト誕生の瞬間だった。

 

デービスはその後ピケンスとともに優れた野球選手になるためにトレーニングを始めた。彼らのトレーニング中に銃声が聞こえるような環境であり、ピケンスはデービスのことをとても心配していた。しかしデービスは心の底から改心して、努力を続けた。その後彼はブルワーズに指名されて、コンプトンを離れた。

 

その後2018年のシーズン途中に彼は自らブルワーズに自身をリリースするように求めた。そしてその後彼はメキシコに渡った。そして遂に彼はMLBに到達した。迎えた13日のエンゼルス戦、彼の両親やピケンスが見守る中彼は故郷の近くエンゼル・スタジアムで3塁打を放った。

 

現在デービスは主に代走として起用されている。これからMLBはプレーオフの季節に入っていく。レイズは現在プレーオフ圏内であり、もしプレーオフに進めばデービスの最大の魅力スピードを活かす機会もあるかもしれない。数年前のロイヤルズのテレンス・ゴアのようなスピードスターが活躍しやすい10月の舞台で、デービスが躍動する姿を見られるのが今から楽しみである。

 

参考:

https://www.usatoday.com/story/sports/mlb/columnist/bob-nightengale/2019/09/18/johnny-davis-tampa-bay-rays-mlb/2362594001/

 

Photo BY: Eric Kilby

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今夏ヤンキースは、夏のトレード期限で噂された先発投手の獲得に踏み切らなかった。ロビー・レイ(ARI)やノア・シンダーガード(NYM)獲得の噂が立ちながら、彼らがトレード期限最終日に行ったトレードはマイナーリーガーをロッキーズから獲得したものだけだった。その事で彼らは批判を受けたが、蓋をあけるとその後3014敗で地区優勝は目前だ。

 

そんな彼らだが、監督のアーロン・ブーンは10月のポストシーズンの先発ローテーションについてこんな発言をしている。

「少し従来のやり方とは異なる起用を考えている。従来の先発投手として起用するのはジェームス・パクストンだけだ。」

 

ここでいう"従来のやり方"とは、先発投手に可能な限り長いイニングを投げてもらう方法を意味する。実際にナショナルズやアストロズはこの方法で今回もPOに臨もうとしているが、HRが増え続けて強打者が増える一方の現状では相手打線に抵抗出来る先発投手を用意出来るチームはほとんどない。

 

ここで読者の皆さんはこんな反論を思い付くだろう。「去年レッドソックスは強力な先発投手陣を擁してワールドチャンピオンに輝いたではないか?」と。この意見は正しくもあり間違ってもある。

 

去年のプレーオフでレッドソックスは14試合を戦ったが、彼らの先発投手で相手打線を3巡抑えた投手は何人いただろうか?

 

答えは0だ。

 

昨年レッドソックスは、プレーオフ全シリーズを通じて27人の打者(打者3)と対戦した先発投手が1人もいない形でワールドシリーズを制覇した初めてのチームになった。

 

因みに2010年のワールドチャンピオンカージナルスは、10試合で先発投手が27人以上(打者3)対戦していた。

 

このように野球が変化している背景には、投手は3巡目に入ると打たれやすい傾向がある事が分かってきたからだ。

 

実際に今季MLBの先発投手は打者3巡目に入ると、長打率.471とかなり打たれている。またヤンキースの先発投手も打者3巡目には、OPS.920と滅多打ちに遭っている。

 

そう考えると、ヤンキースが彼らの先発投手を引っ張らないのは合理的であるだろう。それでは実際に地区シリーズを念頭に彼らの先発投手の起用方法をシュミレーションしてみよう。

 

Game 1 ジェームス・パクストン

カーブを増やして好調のパクストンは現在9連勝中である。しかし彼も打者3巡目には被OPS.897と打たれているので、ブーン監督が彼を引っ張る可能性は低い。

 

Game 2 ルイス・セベリーノ&JA・ハップ

セベリーノは今日復帰したが、怪我明けだけに起用は慎重になるだろう。

 

Game 3 CC・サバシア&ドミンゴ・ヘルマン

Game 2と同様 豪腕&技巧派、右腕&左腕と両極端なタイプの併用は相手打線にとって厄介な存在になるだろう。

 

Game 4 田中将大&JA・ハップ

Game 5 パクストン

 

ヤンキースブルペンは強力で、PO5試合の間に2日間休みがある事を考えると先発投手を2人使わずにいきなりブルペンに出番が回る可能性も十分ある事は付記しておきたい。

 

ヤンキースブルペンが強力な根拠として、勝ちパターンのトミー・ケーンリー、アダム・オッタビーノ、ザック・ブリットン、アロルディス・チャップマンが全員投げた試合で彼らは24勝負けなしという事実が挙げられる。またその他のリリーバーも含めて、ヤンキースの選手は柔軟な起用に慣れている。その事もヤンキースの秘策を後押ししていると言える。

 

ここまで見てきましたように、大胆な秘策に出るヤンキースの今季のプレーオフでの戦いが早くも楽しみです!

 

参考:http://go.si.com/RDREu1J

Photo BY: Dale Cruse

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