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このオフにアストロズからFAになったゲリット・コールがヤンキースと9$324Mという衝撃的な契約を結びました。コールのこの契約は総額、年平均の両方で史上最高額となりました。もちろんコールはこの契約額の大きさにも魅了されたでしょうが、ヤンキースは金銭面以外にも交渉の過程で誠意を見せました。

 

今回はそのヤンキースとコールの契約合意の裏側について詳細に解説した記事を紹介したいと思います。紹介させて頂く記事はYahoo SportsHannah Keyser記者によるNew Yankees ace Gerrit Cole weaves a classic New York story, in detailという記事です。是非こちらの記事もお読みください。

 

 

ヤンキースの交渉チームと面談を行った日の午後1130分の事だ。ベッドに背筋を伸ばして座っていたゲリット・コールにとって1つ謎が解けた。答えはルーであると。

 

ルーとはルー・ククッツァの事を指している。ルーはヤンキースタジアムでアウェイチームのアテンダント(お世話係)を担当している。コールは彼がアストロズの選手としてヤンキースと対戦した時に、ルーにお世話になった。

 

その時にコールはルーに、彼が食べた食事の写真を見せていた。その写真の中には、コールが妻とイタリアを訪問した際の食事の写真も含まれていた。コール夫妻はその際にマセト(ワイン)2004年物を口にしていた。

 

おそらくコールはそのワインの写真もルーに見せていたのだろう。そしてそれがきっかけで、ヤンキースのアーロン・ブーン監督は交渉の際の手土産にコールの好物であるマセトの2004年、2005年物を持って来たのだ。

 

コールはブーンがマセトを持って来た時にとても驚いた。そしてどうしてヤンキースは彼の好きなワインを知っているのかを1日中考えていた。その答えこそが冒頭のルーだったのだ。




またコールは記者会見で、2001年のワールドシリーズで特製のボードを掲げている彼を写した有名な写真を真似てボードを掲げた。またこの有名なボードについても彼は少し触れている。実はあのボードを作ったのはコールではないのだ。


 コールは南カリフォルニア地域で育ったが、ニューヨークの学校に通っていたヤンキースファンの父の影響で彼自身もまたヤンキースファンになった。そんなヤンキースファンの親子は、ダイヤモンドバックスとヤンキースが激突した2001年のワールドシリーズでヤンキースを応援するためにアリゾナに向かった。

 

親子はフェニックスにあるリッツ・カールトンに宿泊していた。偶然にもヤンキースの選手やスタッフが宿泊しているホテルであり、コール親子は当時のヤンキースのオーナーであるジョージ・スタインブレーナーと同じ階に泊まっていた。

 

第7戦までもつれたシリーズで、コール親子は第6戦を観戦した。第1戦と第2戦もアリゾナで行われていたので、コール親子が泊まる数日前に別の家族が同じホテルに宿泊していた。その家族が作ったボードをコールが受け取りスタジアムに持っていた事で、有名な写真は生まれたのである。

 

その後18年の時を経て球界で今最も支配力のある先発投手になったコールは、父親ジョージからオーナーの地位を受け継いだ現ヤンキースオーナーであるハル・スタインブレーナーからも絶賛されている。

 

ジョージと異なりFAに大金を注ぐことにそれほど積極的でなかったハルは、コールについて過去数年のFAの選手とは違い本物のゲームチェンジャーだと語っている。

 

ヤンキースは当初8年契約を提示していた。しかしコール獲得を目論むドジャースやエンゼルスを振り切るために、比較的早い段階で9年契約を提示した事がハルオーナーの本気度を示しているとも言える。

 

記者会見ではヤンキースを選んだ理由を、ヤンキースの選手としてプレイする事が子供の頃からの夢だったからとコールは答えた。しかしきっと理由はそれだけではないだろう。ヤンキースが見せた誠意にもきっと心を動かされたに違いない。コール獲得でワールドチャンピオン最有力候補に躍り出た2020年のヤンキースが早くも楽しみである。

 

参考:New Yankees ace Gerrit Cole weaves a classic New York story, in detail

Photo BY: Bart Hanlon