MLBの読み物

MLB(メジャーリーグ)の少しマニアックな情報を発信するサイトです。

2020年06月

7384853972_e62af062c7_c

いよいよMLBの開幕が正式に決定しました。開幕日は来月7月の23日/24日を予定しています。また今季は例年とは異なるルールも多数設定されているので、この記事にまとめておきます。

 

・両リーグが(シーズン、プレーオフ共に)DHを採用できる

ナ・リーグでもDHが採用される事になりました

 

・延長戦では、試合時間短縮のためにランナーが2塁にいる状態からイニングを始める

→2塁のランナーは前のイニングで最後にアウトになった選手です。代走は可能で、この2塁のランナーが帰った場合投手に自責点はつきません。

またこの制度は現時点ではシーズンに限定採用されています。

 

・野手の投手起用が試合のどんな場面でも認められる(制限なし)

 

1人の投手が最低3人の打者と対戦しなければならないルールは実施予定

 

・天候等の問題で試合が成立せず延期された場合は、延期されたイニングから再開する

従来は試合が成立しなければ試合の初めから再開されていた

 

・トレードデッドラインは例年の7月末から8月末に変更

・負傷者リスト(Injured List)に登録できる期間は投手、野手共に10日間になる

・60日間の負傷者リストは今季は45日間になる
 

 ・今季はアクティブロースターに25人ロースターではなく26人の選手が登録できる(ダブルヘッダーの場合は27人を登録できる)
*アクティブロースターに関する解説記事はこちら


・アクティブロースターには開幕時点で30人の選手を登録可能、その後2週間後には28人と登録可能人数が減り、最終的に4週間後には26人に減りその後は変わらない
 

参考:MLB rule changes: Universal DH, runner on second base for extra innings among many changes proposed for baseball in 2020

 

Photo BYDinur

 

2562276162_d5d78dbb86_c

昨日もお伝えしましたが、MLBも少しずつ開幕に向けて動き出しました。そしていよいよ今日からは日本のプロ野球が開幕します。多くの人が楽しみにしていたかと思いますが、当面は無観客試合で実施される点で例年とは異なります。そこで今回は既に無観客試合を経験しているKBO所属の3人の外国人選手達の意見が掲載されていた記事を紹介します。それではどうぞ。

 

ロッテ・ジャイアンツに所属する投手のダン・ストレイリーは無観客での試合は8年間のMLB生活でも経験したことのないものであると感じている。ストレイリーはMLBでも観客が少ないことで知られるオリオールズやマーリンズに所属していたが、それらのチームやさらにはマイナーリーグの試合ですら現在のKBOの無観客試合に比べれば遥かにエネルギーに満ちていた。

 

ストレイリーは無観客試合について「どんな些細な音でも聞こえる。ドームの中は恐ろしいほど静かで、交通機関の音すら聞こえない。」と語っている。

 

今季のMLBが実施されるかも分からない状況が続いているが、パンデミックの影響で無観客試合が余儀なくされているKBOでの試合がどのような雰囲気かを知ることは大いに参考になるだろう。

 

普段の試合と同じ環境に少しでも近づけるために、KBOのチームの中にはスタンドにぬいぐるみやマスクを着用したファンの切り抜きを置いているチームもある。本来のKBOの試合では客席から歓声や歌声が聞こえるが、現在はチアリーダーの歓声や歌声が聞こえるのみである。そしてファンはオンラインでストリーミング配信を楽しんでいる。

 

ストレイリーに続いて紹介するのはLGツインズに2019年から所属するケイシー・ケリーだ。ケリーは現在のKBOの試合に最も近い経験をしたのは、彼がマイナーリーグでプレーし始めたばかりの時に家族や友人しか観客席にいなかった頃だと考えている。ただそんなケリーですら25,000の空席がある現在のKBOでの試合は非現実的だと感じている。

 

今季から韓国に渡ったストレイリーとは異なり、昨年もKBOでプレーしたケリーは球場の賑やかな雰囲気を経験していたが今年はその正反対の環境でプレーしている。

 

「本来なら球場全体で歌を歌っているのに、今年は5人のチアリーダーが応援しているだけだ。さらにアウェイのチームはチアリーダーもいないから、自分がホームで(アウェイのチーム相手に)投げる時は完全に静かな状態だ。」

 

沈黙は通常ならば気にもならない些細な音を目立たせる。味方も敵もお互いにダウアウトからマウンドへの指示が聞こえるし、投手が投げたボールが吸い込まれる音やバットが当たる音も聞こえる。

 

「打者がバットを当てる度に大きな音が聞こえる。普段はそれに慣れていないから、まるで彼らが毎回ボールを粉砕しているんじゃないかと思うよ。」とケリーは語っている。

 

ここまでは投手の意見を見てきたが、野手はどう感じているのだろうか?2019年にKIAに加わったプレストン・タッカーは観客の歓声の重要性を実感しているようだ。

 

「試合の中で訪れる重要な局面で打席に立ってもそれに気づかないんだ。静かな環境で試合をしていて、重要な場面でもそうでない場面でもスタジアムの雰囲気が全く変わらないからね。」とタッカーは感じている。

 

以上の3選手全員が感じている事はファンの存在の大きさである。ファンの声援を直接浴びることでアドレナリンが出る事もあったが、今年は残念ながら自分自身の内側から引き出す必要がある。さらにケリーが語るように、どれだけ重要な局面で三振を奪っても一切歓声が聞こえないのだ。

 

ストレイリーやタッカーは試合が終わると球場に隣接した駐車場でファンと出会うことがある。選手達は一部の試合でファンが試合の生の雰囲気を楽しむために駐車場にいることに気づいている。

 

ストレイリーは「観客がいない中で試合をする可能性について考えることすらなかったが、観客がどれだけ重要な存在だったかを感じる。」と語っている。

 

タッカーは最大5万人のファンを収容できるMLBの球場よりも2.5万人しか収容できないKBOの球場の方が賑やかであると語っていて、さらにその球場の雰囲気をとても気に入っている。

 

最後にプロでのキャリアを通して当たり前だと思っていたことが当たり前でなくなり前例のない状況を経験しているストレイリーはこう語った。「ファンがいるから仕事ができるということを思い知らされた。」

 

参考:What's it like to play in front of no fans? We asked the guys already doing it

Photo BYEugene Kim 

16876217861_a842e83b0a_c

MLB
のオーナー対選手会の長く続いた対立に進展がありましたので、その内容についてまとめておきます。

 

MLB機構のマンフレッドコミッショナーは先日「今季MLBが開催されるかについて自信がない」とまさかの弱気発言をして猛烈な批判を浴びました。というのもその5日ほど前にマンフレッドコミッショナー自身が「今季MLB100%あるよ!」と言っていたので、発言の二転三転ぶりが問題視されたからでした。

 

さすがにコミッショナーもこれはまずいと思ったのか、日本時間の昨日深夜から早朝の時間帯に選手会側の交渉担当であるトニー・クラークと直接話し合うためにフェニックスに行ったようです(オンライン会議じゃ駄目だったのですね・・)

 

2人の会談の結果MLB7月末に開幕するという大筋の部分では合意したようです。ただし今回の会談でも試合数やプレーオフの実施時期に関しては、まとまらずここから細部を詰めていくと見られます。

 

主に今回の会談で話し合われた事は以下の通りです。

719日にMLB開幕

・シーズン終了は927

・開幕から71日間で60試合を実施する

・オーナーは60試合分の年俸を選手に支払う

PO進出チームは10から16へ増加

 

MLB機構としてはパンデミックの第2波が到来するケースを想定して、ワールドシリーズを10月末までに終わらせたいと考えているようです。これは第2波の到来で、ワールドシリーズが実施できないような事態が発生した場合9億ドルの放映権収入を失いたくないという思惑があります。

 

またTV局側も他スポーツとの絡みがあるのかMLBのワールドシリーズが11月以降に行われるのは望んでいないようです。ただ選手達としては1試合でも多く試合を行いたいという希望があります。その中で今回オーナー側は実施した試合の数に応じた年俸を支払うという部分に関してようやく譲歩しました。

 

おそらくですが、今後は10月末までにワールドシリーズを終わらせたいMLB機構側と1試合でも多く行いたいMLB選手会側で試合数の細かい調整を行うのではないかと見られます。何はともあれMLBが開幕に向けて少しずつ動き出したのは良かったです。

 

参考:MLB, players make progress to play in 2020, but can't agree on length of season

Photo BYLorie Shaull

9389028719_6d022526c5_o

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は社会に大きな影響を与えていますが、それは野球界にとっても同じです。シーズンが開催されるかどうかも不明という前代未聞の1年で、先週行われたドラフト会議は史上最小の規模で行われました。

 

選手の指名は5巡目までで、プロ入りへの切符を掴んだのは160人に限定されました。ただしその160人の指名から漏れた選手の中で、最大2万ドルの範囲内でなら契約を認めるという特別ルールも今年は設定されています。その特別ルールの中で、多くの優秀な選手を獲得しているのがロイヤルズです。今回はアマチュア選手の多くがロイヤルズとの契約を希望する理由を紹介したいと思います。

 

アメリカの東海岸で日曜日の午前9時から特別ルール下での契約交渉が始まりました。その後開始から24時間以内にベースボール・アメリカ(以下BA)誌が選ぶ500人のドラフト候補のうち未指名の340人の中から12人が契約に合意しました。実にその12人のうち5人がロイヤルズとの契約に合意したのです。ロイヤルズ以外のチームで複数人の選手と契約に合意したチームはありません。

 

「非常に価値の高い(一部のエリート)選手だけでなく、指名順位が低い選手も大切にするチームに行きたい」と日曜日にロイヤルズと契約した上記BAのランキングで174位のキャッチャー、Kale Emshoffは言います。 「チームに所属してから、大切に扱ってもらえるかを知りたいし、それは契約するチームを決める際に重要な要因になります。」

 

このEmshoffのように初日にロイヤルズと契約した選手達がロイヤルズを選んだ動機は単純明快でした。選手達は、自身をサポートしてくれるチームとの契約を望んでいたのです。

 

その背景にはここ数ヶ月間不安定な状態に晒されたマイナーリーガーの存在があります。5月末に数百人のマイナーリーガーの解雇が話題になりました。彼らは解雇されただけでなく、次の所属先もなくさらに野球以外のアルバイト等も見つけるのが困難な状況が続いています。現在はチームと契約している選手も今後の契約に関しては先行きが不透明な状況が続きます。

 

その中で選手達に対して夏までの給料を継続して支払うと明言したチームがいくつかありました。その1つがロイヤルズです。ロイヤルズは5月に、シーズン終了までの期間を通して選手を解雇しない&給料の支払いを継続することを約束したのです。

 

それを発表した声明文の中でロイヤルズのデイトン・ムーアGMは「名もなきマイナーリーガーも1015年プレーしているベテラン選手と同じくらい野球の成長に貢献しているのだ」と語っています。もちろんこれだけが選手達のチーム選びの決め手になったわけではありませんが、影響を与えたのは確かでしょう。

 

先ほどのEmshoffの話に戻りましょう。彼は交渉開始から1日の間で実に25のチームからオファーを受けました。全てのチームが契約金の最大額である2万ドルを提示し、様々な形で売り込みを行いました。

 

その中でロイヤルズはスカウトのマット・プライスがメッセージを送りました。それは控えめなものでしたが、記憶に残るものでした。その後Emshoffは午後6時にロイヤルズを選びました。

 

ロイヤルズは交渉の過程で、組織の哲学の基礎である価値観について熱心に説明しました。つまり勝てるチームである事をアピールするのではなく、成長できるチームである事をアピールしたのです。またBAのランキングで440位の投手であるChase Wallaceもロイヤルズについて「彼らはチーム組織を売りにしている。」と言います。

 

Wallaceも日曜日に11チームからオファーを受けました。その中で彼がロイヤルズを選んだ理由はEmshoffと同じです。「マイナーリーグの発展と彼らがマイナーリーグをどのように扱ってきたのかを注視しました。」とWallaceはコメントしています。またルイジアナ州立大学のSaul Garzaも彼ら2人と同じ理由でロイヤルズを選びました。

 

ロイヤルズといえば、1970年代初頭にフロリダで有給の野球アカデミーを設立した事でも知られています(のちに採算の問題から撤退)。そのようなマイナーリーガーを大切にする伝統が続きそれが目に見える形で結果が出たのが今回の成果に繋がったのではないでしょうか。

 

参考:How the Royals Hijacked the Undrafted Free Agent Market

Photo BYShea Huening

このページのトップヘ