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今朝発表されたアストロズのサイン盗みに関して、MLB機構のコミッショナーであるロブ・マンフレッド氏の署名入りの報告書(PDF全9ページ)を全文日本語でお伝えします。
Part4ではルーノーーGMやヒンチ監督の処分の理由等について触れています。

Part1こちら

Part2こちら

Part3こちらからそれぞれお読み頂けます。
 

ジェフ・ルーノーGMの責任

ルーノーはサイン盗みに用いられた2つの手法であるゴミ箱を叩く方法とリプレイレビュールームスタッフがサインを解読してそれをダッグアウトに送信する方法への関与を断固として拒否しています。 調査ではルーノーがゴミ箱を叩く方法を認識していたことを示唆する証拠は見つかりませんでした。 また調査によると、ルーノーが2017年または2018年にリプレイレビュールームのスタッフがサインを解読する方法を考案したり、積極的に指示した事実は見つかりませんでした。

ルーノーはリプレイレビュールームのスタッフがサインを解読して送信している事に気付いていた事も否定していますが、 実際には彼がその手法を知っていた上でそれほど関心を示さなかったという事を示す文書的な証拠と証言があります。

 

チームの規則違反に関してルーノーがどれほど把握していたかとは関係なく、私は彼のチームが行なった違法行為について彼に責任を負わせます。GMの仕事はスタッフと選手の行動を認識し、それらの行動がオーナーとMLBのルールによって設定された行動規定の両方に適合することを保証することです。

20179月のレッドソックス事件に関して彼は知っていた事そして2017915日に私が全球団に送付した文書とジョー・トーリが送付した20183月の文書の両方を受け取ったにもかかわらず、ルーノーはチームが規則を遵守していることを確認するための適切な措置を講じることができませんでした。

ルーノーは上記の文書の内容を伝えず、選手とスタッフがMLBのルールと文書に適切に対応していることを確認しませんでした。ルーノーが20179月にそれらの措置を講じていたら、その時点でアストロズが両方のサイン盗みをやめていたことは明らかです。

 

最後にALCSでのブランドン・トーブマン前GM補佐の行為に関する調査に関する9回の面談に加えて、今回の調査で実施した68件の面談から収集したアストロズのフロントオフィスに関するいくつかの一般的な観察を行います。

フロントオフィスの運営に関する経験が豊富な人物を擁する他のチームと同様に、アストロズのオーナーであるジム・クレーンはフロントオフィスの裁量をルーノーに委任しつつ、(彼自身は)チームのビジネス側の運営に注力しています。

 

そしてルーノーが野球界の分析革命を先導しアストロズをプレーオフの常連のチームに再建した現在最も成功した野球エグゼクティブの一人であると広く考えられているという事実に照らしても、野球部門とビジネス部門で責任の分担を疑問視することは困難です。ルーノー率いるフロントオフィスが分析の業界リーダーであることに誰も異議を唱えることはできませんが、従業員の扱い方や他のチームとの関係に現れているフロントオフィスの文化、メディアや外部の利害関係者との関係は非常に問題があります。

少なくとも私の考えでは、フロントオフィスの結果を優先しすぎる文化がしばしば指示や十分な(上司による)監督を欠いているスタッフと結びつき、それが部分的にブランドン・トーブマンの事件につながりました。さらにその事件に対する不適切で不正確な事後対応、そして最終的に今回のレポートで記載されているような事が起こる環境に繋がっていると言えます。あくまでこれらの指摘は野球に関する事を決定するフロントオフィスに対して向けられたものであり、今回の調査は野球とは独立したビジネス部門には及んでいません。

 

AJ・ヒンチ監督の責任

ヒンチはゴミ箱を叩く手法を考案した事もそれに参加することもありませんでした。ヒンチは調査員に、ダグアウトの近くに設置されたモニターを使用して選手がサインを解読しゴミ箱を叩く行為を彼はサポートしなかったと言いました。

ヒンチはモニターを物理的に2回損傷させて交換を必要とすることで、サイン盗みを認めないという意思を示そうとしました。

ただしヒンチは20179月にレッドソックスが懲戒処分を受けた後でも、サイン盗みを拒否せず選手達またはコーラがサイン盗みを行う事を止めなかった事を認めました。

同様に彼はリプレイレビュールームからサインを伝達する方法に関しても存在を知りながらも止めませんでした。しかしながら彼はこの方法にも同意せず、サイン盗みの目的でのリプレイフォンの使用に関して少なくとも1度懸念を表明しました。選手とコーチを管理する責任を持つ人物としてヒンチが行動しなかったことを正当化することはできません。

 

もしヒンチが状況の処理方法を分からなかったならば、問題をルーノーに伝える事は彼の責任でした。ヒンチはサイン盗みの継続を許可したことについて、私と調査官の両方に後悔の念を示しました。ヒンチの反省は評価に値しますが、特に彼は一連のサイン盗みに関する事情に精通しており2017年のポストシーズンを通じてそれを続けることを選択したのであり彼はチームが行なった行為に対して責任を負わなければなりません。

 

アレックス・コーラ(2017年アストロズのベンチコーチ)の責任

コーラはゴミ箱を通じたサイン盗みの手法の開発とリプレイレビュールームの利用によるサインの解読と送信の両方に関与しました。コーラは両方の行為に参加し彼の積極的な参加を通じて、暗黙のうちに選手達の行為を容認しました。DOI2018年にコーラが監督を務めるレッドソックスが行なった電子機器を利用したサイン盗みに関する調査を完了させるまで、彼の処分の決定を延期します。

 

ブランドン・トーブマン(前アストロズGM補佐)の責任

トーブマンはALCSの試合後に複数の女性記者に対する不適切な行為により、20191024日にアストロズによって解雇されました。今回の疑惑に関して調査員はトーブマンと面談を行い、彼もルーノーのようにサイン盗みの行為への関与を否定しました。アストロズの今回のMLB規則違反に対するトーブマンの過失を判断する必要はないと思います。これは、以下で説明するように、クラブハウスでのトーブマンの不適切な行為に対する重大な懲戒を課しているからです。

 

ジム・クレーン(アストロズオーナー)の責任

ジム・クレーンはチームが行なったMLB規則の違反を知りませんでした。 実際レッドソックスの違反が発表された後に、クレーンはルーノーにアストロズでは同様の行為が行われていないかを確認する必要があると語っていた。

下位レベルのアストロズのスタッフの中には、ルール違反を知っている人や、他の人の指示で違反に参加した人がいました。 これらのより若い従業員の行為が懲戒またはその他の是正措置に値するかどうかはアストロズに委ねます。

 

処分内容

アストロズとそのフロントオフィスの上級幹部の行動は重要な懲罰に値することがわかりました。この調査結果は20179月にフロントオフィスの上級幹部がサインの盗難に関するポリシー違反の責任を負うことを明確に通知し、彼らが2017年のポストシーズンおよび2018年のレギュラーシーズン中にチームの選手とスタッフがこの規定を遵守する事を確認するための行動を取らなかったという事実に基づいています。

ここに記載されている行為によりファン、プレーヤー、他のMLBチームのスタッフ、およびメディアはアストロズが参加したゲームの誠実さについての質問を提起しています。そして行為が実際にフィールドの結果に影響を与えたかどうかを判断することは不可能ですが、それが実際に行われたという認識はゲームに重大な損害をもたらします。

 

1.

チームは2020年および2021年のドラフトでの通常の第1順目及び第2順目での指名権を放棄します。チームがFA選手の獲得等により、ドラフト1巡目指名権等を失っている場合は翌年のドラフトで該当する指名権を没収するものとします。

2.

クラブはコミッショナーオフィスに500万ドルの罰金を支払いますが、これはMLBの規定で認められている最高額の罰金です。

 

1.

ジェフ・ルーノーは、2020113日から2020年のワールドシリーズの終了日の翌日まで無給で活動停止処分となります。ルーノーはアストロズまたはその他のメジャーリーグのチームに代わってサービスを実行したり、ビジネスを行ったりすることを禁じられています。ルーノーは、メジャーリーグ、マイナーリーグ、またはスタジアムを含むスプリングトレーニング施設に立ち入ることはできません。またチームと一緒にまたはチームを代表して旅行することはできません。彼の停職期間中コミッショナーオフィスは、このレポートに記載されている種類のインシデントが将来発生しないようにするために、ルーノーと適切な管理/リーダーシップトレーニングプログラムについて話し合います。またルーノーが将来MLBのルールの重大な違反に関与したことが判明した場合永久追放リストに掲載されます。

 

2.

AJ・ヒンチは、2020113日から2020年のワールドシリーズの終了日の翌日まで無給で活動停止処分となります。ヒンチはアストロズまたはその他のメジャーリーグのチームに代わってサービスを実行したり、ビジネスを行ったりすることを禁じられています。ヒンチは、メジャーリーグ、マイナーリーグ、またはスタジアムを含むスプリングトレーニング施設に立ち入ることはできません。またチームと一緒にまたはチームを代表して旅行することはできません。 ヒンチが将来MLBのルールの重大な違反に関与したことが判明した場合永久追放リストに掲載されます。

 

3.

20191019日のクラブハウスでの不適切な行為に基づき、ブランドン・トーブマンは、2020年のワールドシリーズ終了の翌日までMLBのビジネスに関与する事が出来ません。また2020年のワールドシリーズ終了の翌日には彼は復職を申し込む資格があります。トーブマンがMLBのルールの将来の重大な違反に関与していることが判明した場合、トーブマンは永久追放リストに掲載されます。

 

2020113

MLB機構コミッショナー

ロバートD. マンフレッド, Jr.

 

参考:Statement of the Commissioner 

Photo BY:M&R Glasgow