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この冬にブルージェイズは柳賢振と4$80Mの高額契約を結んだ。この契約が示しているように、ブルージェイズは彼をチームの新たなエースとして認識している。彼は長年登板すれば好投してくれるが、故障の多さから1年を通しての活躍には期待できなかった。しかし昨年は1年を通して健康を維持して、高いパフォーマンスを見せてサイ・ヤング賞のファイナリストにも残った。

 

そんな彼が好成績を残した裏側には、昨年まで所属していたドジャースの他の選手とも全く異なる調整方法にあった。なんと彼は登板間にブルペンでの投球練習を一切行わないのだ。今回はそんな彼の独特な調整方法についてスポーツ・イラストレイテッドの記事に基づきながら紹介したい。

 

ドジャースのウェイトルームから送られた拍手は、野球界で現在最高の投手がチームメイトを再び驚かせたことを意味している。左腕である柳賢振はさまざまな方法でチームメイトを驚かせている。例えば柳賢振の防御率は現在1.36と驚異的だし、正確無比なコマンドも持ち合わせている。その結果彼に打ち取られた打者達は、90マイルの4シームに苦しめられている理由が分からず頭を振りながらダグアウトに戻らざるを得ない。

 

しかし6回を投げて6奪三振、1失点と好投した柳は試合翌日には一体何をしているのだろうか?

 

柳はドジャースのチームメイトを彼が残している結果よりもその結果を出すためのプロセスで驚かせている。彼の同僚達は彼が5つの球種を4コーナーに投げ分ける事で、打者を球種とコースを掛け合わせて20通りの方法で幻惑する様子を見ている。柳が健康にシーズンを過ごせば登板日ごとに相手打線を圧倒できるとドジャースの選手達は長年分かっていたのだ。

 

柳は登板間にブルペンでの投球練習を行わない。さらに彼はダンベルを持ち上げる事もない。それどころか彼は全力でキャッチボールに取り組む事すらないのだ。

 

可能な限り頻繁にハードな投球練習を行う右腕のウォーカー・ビューラーは柳と頻繁に冗談を言いあっている。(自身のトレーニング方法と比較する意味で)「柳の調整方法を見ていると、うんざりしてしまうよ。」

 

柳はトレーニング後の休息の取り方でさえも多くのチームメイトの関心を集めている。ドジャースには一度に25人ロースターの内半分の選手を収容できるサウナがある。ほとんどの選手達はサーモスタットを華氏110度前後に設定し、色々な事を話しながら10分間過ごします。ところが柳は華氏を125度に設定して、あぐらをかきながら静かに最大30分間過ごす事を好むのだ。

 

また他の選手は浴槽を温かいものは華氏100度前後に設定して、冷たいものは華氏50度に設定して使用している。ところが柳はそれぞれに温かいものには5度高く設定して、冷たいものは5度低く設定して使用している。

 

右腕のロス・ストリップリングはかつてヒストリー・チャンネルで放送された極端な気温を感じない人々に関する『現代の驚異』のエピソードを思い出す。そんな彼は「柳はその一人だと思う」と言い、「柳は現代の驚異だ。」とも付け加えている。

 

それに対して柳は「それ(自身が温度差を感じない事)はそんなに特別なことではないと思う。ただしチームメイトからは、それぞれの浴槽がどれほど寒いのか暑いのかについて聞く事もあるよ。」と語る。

 

柳が耐えられる温度差は非常に大きいため、一旦彼が部屋に入ると他の選手は退出してしまい部屋が空になってしまう。他の選手は、彼らがその温度差に耐えられない事に気付いているのだ。「他の選手の多くは柳のスケジュールに合わせてサウナの時間を調整しているから、彼がサウナにいる時は他の選手はいないよ。」とストリップリングは言う。

 

現在の活躍には自分でもとても驚いていると柳は通訳のブライアン・リーを通して言う。 「運や後ろで守っているチームメイト、そして自分が取り組んでいるトレーニングが上手く行っているからだろう。しかし、シーズンのかなり早い段階なので、これが継続するかを考えるには時期尚早だろうね。」とも付け加える。

 

しかし柳の意見と異なる意見をストリップリングは示す。「防御率は確かに少し驚きの数字だ」と彼は言う。「しかし健康なときは、2-0からチェンジアップや3-1からカーブボールを投げられる。マイク・トラウトは(彼に対して)2回三振したけど、彼のバランスを崩すことはほとんど不可能と言っていい。(そんな事が出来る)柳の問題は健康を維持できるかだけだった。」

 

確かに健康こそが柳のパフォーマンスの最も驚くべき要素かもしれない。彼は高校でトミー・ジョン手術を受けた後、KBOのハンファ・イーグルスに入団した。2013年シーズンの前にドジャースはハンファに2570万ドルを支払い、その後6年間で柳とは63600万ドルの契約を結んだ。その後彼は6年間で557イニングしか投げていない。昨年も投球内容は良かったが、故障で3ヶ月間を失った。

 

そんな彼が現在リーグを支配している。彼の現在の活躍には、彼の独特なルーティンが関係している。 そのルーティンとは、ドジャースの選手達が見た中で最も激しい肩のトレーニングである。柳も「これに関しては、チームメイトに同意するよ。確かにあのトレーニングは少し激しいね。」と語る。

 

その日が登板日かそうでないかに関わらず、彼は毎日軟部組織のマッサージとストレッチを行なっている。登板がない日のトレーニング方法は以下の通りである。

登板した1日後:ウェイトを用いた肩のトレーニング

登板した2日後:ショルダーチューブを使用したトレーニング

登板した3日後:上半身の運動を行なった後に、肩のトレーニング

登板した4日後:翌日の対戦相手の研究

 

これらの一連の調整は、彼を上手く助けているように見える。ウェイトルームでは、ビューラーがスクワットラックから叫ぶ。「ここに来てよ!(トレーニングを積めば、)多分96マイルのボールを投げられるようになるよ!」

 

それを聞いた柳は笑う。 「俺には必要ない!」

 

参考:Hyun-jin Ryu's Training Routine Is More Baffling Than His Success

Photo BY: Shea Huening