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ア・リーグ西地区は今季1番サプライズが起きている地区かもしれません。開幕2ヶ月が過ぎた段階でマリナーズがアストロズより上の順位にいます。しかしサプライズはマリナーズだけではありません。そうです、エンゼルスも見事に今季サプライズを起こしています。

 

エンゼルスは2010年以降地区優勝が1回だけとかつての黄金時代を取り戻せていません。しかし今季はここまで勝率.550を超える成績を残しており、地区優勝最低でもプレーオフ進出が狙える状況です。

 

ここ数年のエンゼルスが苦戦していた理由は先発ローテーションに故障者が多かったことにあります。例えば昨年の成績を見てみましょう。

開幕時の先発陣はリッキー・ノラスコ、マット・シューメイカー、タイラー・スキャッグス、ジェシー・チャベス、ギャレット・リチャーズでした。

しかしこの中で1年間ローテを守り切ったのはノラスコだけです。さらに20試合以上先発登板をした選手もたった2人だけでした。これを見ればいかに先発陣に故障者が多かったかを理解できると思います。

 

しかし今季は特殊な6人ローテを採用することで先発陣が好調です。先発投手の防御率3.58は現在ア・リーグ3位です。さらに過去30日に絞って考えるとマリナーズについてア・リーグ2位となります。さらに今季は既に7試合以上投げている投手が6人もいるのです。6人ローテを導入したことでエンゼルス投手陣はどこが良くなったのかをオレンジ・カウンティ・レジスター紙のJeff Fletcher氏が書いていたので、今回は紹介していきたいと思います。

原文のリンクはこちら(https://www.ocregister.com/2018/06/07/angels-starters-flourishing-with-six-man-rotation/)になります

 

General Manager Billy Eppler’s idea of using a six-man rotation – more accurately, of giving pitchers an extra day of rest whenever possible – has not only received the stamp of approval from the pitchers, but the results have been undeniable

GMであるビリー・エプラーの6人ローテーションというアイデアー正確に言うと投手にさらに休みを与える戦略—は投手陣からの承諾を得ただけでなく申し分のない結果を叩き出している。」

 

先発陣の一角を務めるタイラー・スキャッグスもこの方法に賛同している選手の1人で、彼は「休みが増えることは、疲労回復に良い。(6人ローテは)プラスの面がたくさんあって、マイナスの面はそれほどない。」と語っています。

 

大谷翔平の加入がエンゼルスの6人ローテ採用のきっかけになったわけですが、彼自身は他の選手とは別のスケジュールで登板しています。現在大谷は日本時代と同様に最低でも6日間の休養を置いて、登板しています。

 

エンゼルスは大谷以外の投手陣にも5日間の休養を与えています。スケジュールの関係で休養日が多く5日間の休みを与えられる場合は他のチームと変わりません。エンゼルスのオリジナリティが発揮されているのは、6人目の投手としてルーキーのハイメ・バリアを起用して5日間の休養を上手く作り出している点です。

 

投手陣に5日間の休養を与えられない場合のみ、バリアを昇格させて1日彼を起用する。そして翌日にはバリアをマイナーにオプションさせることで、ブルペンの選手や野手を登録する。この方法を用いれば、6人ローテーションを実践していながら実際にはシーズンのほとんどで25人枠には先発投手が5人しかいない状態をキープできるのです。

 

実際にバリアに関するエンゼルスのTransactionsの記録は以下のようになっています。

2018/04/11 MLBに昇格

2018/04/12マイナーに降格

2018/04/22 MLBに昇格

2018/04/23マイナーに降格

2018/05/03MLBに昇格

2018/05/16マイナーに降格

2018/05/26MLBに昇格

2018/06/02マイナーに降格

 

このようにバリアにMLBとマイナーを往復させることで、彼以外のローテの投手に休養を与えているのです。この6人ローテーションの実践で、主に2つの好影響があるそうです。

 

まず1つ目は投手の登板間隔についてです。従来は中4日制なので、登板間のブルペン投球は2日目か3日目に設けていました。

登板日

休養1日目

休養2日目

休養3日目

休養4日目

登板日

このシステムだと、ブルペンと実戦登板の間が1日になってしまうのです。しかし中5日制にすれば、

登板日

休養1日目

休養2日目

休養3日目>ブルペン投球

休養4日目

休養5日目

登板日

こうなれば、ブルペンと実戦の間が両方とも2日確保できます。このシステムをスキャッグスは絶賛しています。

 

2つ目の好影響は、前回登板の修正を施しやすくなったことです。先発ローテーションの一角を担うニック・トロピアーノがそれを説明しています。

“You can get a little more intent into it,” he said. “On a five-day rotation, you don’t have that luxury. You want to stay with your routine. You throw 25-30 pitches. Now you can go maybe 35 or 40-plus with the six-day.

「課題の修正により没頭できるようになっている。中4日で回している時には、ルーティンを守るのでそんなことはできずブルペンでは25-30球を投げるだけだった。現在は35-40球投げられる。」

実際にトロピアーノはスプリッターの調子が悪かった登板の後はそこを重点的に克服するそうです。

 

最後にフレッチャー記者は、去年のローテーションと比べて今季のローテの成績が良いことは単純には比較できないと記しています。その理由は昨年と今年のローテーションのメンバーが大きく違うからです。現状では休養日が増えたことと成績向上の因果関係は分かりません。

しかし最後にフレッチャー記者はヒーニーの言葉を引用しています。

“Maybe we’re on to something,” Heaney said. “Revolutionizing the game.”

「おそらく僕たちは何かー野球に革命を起こすことーを今実行しているよ。」

 

*感想

今回は非常に中身の濃い話でした。去年までは確かに故障者の多かったエンゼルス投手陣が、どれだけ故障者を減らせるかは大きな注目だと思います。

また個人的に気になるのは、6人目の先発投手ハイメ・バリアの存在です。この投手運用はバリアが若手でマイナーオプションが残っているからこそ出来る投手運用だと思います。現在は好調なバリアですが、彼が今後不振になればこの特別6人ローテーションをエンゼルスは続けるのかも気になります。

 

今季はレイズのリリーフ投手を先発起用するやり方が多いに注目されています。ドジャースもそれを追随するように今日は登板した投手が全員中継ぎという珍しいやり方を採用しています。今後もこのような様々な技巧を凝らした投手運用が出てくると思います。その様々なやり方からは目が離せません。

エンゼルスが6人ローテを採用しようと決めたきっかけは大谷選手です。もしこれを他球団も真似て中4日の原則が崩れたらまさにMLBに革命が起きたと言っていいはずです。そこにも大谷選手が絡んでいると考えると、本当に歴史を塗り替える選手だなと思いました。

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