MLBの読み物

大手サイトでは扱われにくいMLBの少しマニアックな情報を発信するサイトです。野球好きの方は気軽に立ち寄ってください。

カテゴリ: 翻訳記事

28176958463_8fdf4dcd43_z
昨日はマリナーズの時代と逆行する選手の集め方を紹介しました。今日はチームではなく、1選手として時代の流行りとは逆のアプローチを取り入れている選手を紹介します。その選手はレッズのスコット・シェブラーです。

 

今回参考にさせていただいた記事は

(https://www.beyondtheboxscore.com/2018/6/11/17446482/scott-schebler-launch-angle-cincinnati-reds-andrelton-simmons)です。

是非元の記事にも目を通していただきたいです。


 

シェブラーが今年行なっている打撃のアプローチとはズバリ打球角度を下げることです。最近のMLBでは、フライボールレボリューションと呼ばれる打撃アプローチが話題です。これは打球の角度を上昇させて、HRを積極的に狙っていくというものです。これには欠点もあり三振が増加することです。

 

まずは今季と昨年のシェブラーの主要なスタッツを並べてみます。

2017.233/.307/.484/.791 K%23.5% wRC+100 打球角度11.3

2018.282/.351/.471/.822 K%18.0% wRC+124 打球角度6.3

 

このスタッツの変化は一目瞭然かと思います。打球角度を下げるように変更したことで、打率が上昇してK%が減少しています。しかし今回最も注目に値するのは、wRC+100から124へ大幅に向上しているところです。

 


wRC+
はその打者が生み出す得点能力を数値化したものであり、平均的な打者は100となっています。これは現在打者を評価する時によく使われる指標で、MVP投票を行う記者でも用いている人がいます。

 

昨年のシェブラーはwRC+がピッタリ100となっています。これはつまりHR30本打っていながら、彼は平均的な打者だったという事になります。しかし今年はHRを減らしているのにも関わらず、wRC+124と大幅に成績を改善させています。

現在170打席以上の打者はMLB全体で210人います。その中でシェブラーのwRC+12462位となっています。

昨年規定打席に到達した打者144人中wRC+ランキングでは94位だったことを考えると、今季のシェブラーが昨年より打撃好調だと断言してもいいはずです。

 

HRのペースが落ちていることを考慮すると、一見攻撃力も低下しているのかと思いきやその真逆というわけです。


 

 もう少し掘り下げた数字も記事では紹介されています。

2017GB46.2%FB24.4%LD19.8%打球速度88.8

2018GB54.0%FB16.1%LD24.8%打球速度91.0

 

これらの数字を見ても明らかなように、シェブラーはフライを打つよりもラインドライブを打つことをこころがけています。そしてその結果打球速度も上昇しています。

 

記事ではどうしてこの時代と逆行したアプローチで、シェブラーの打撃成績が上がっているのかを少し極端な事例を用いながら解説しています。

 

シェブラーは67日と8日の2日間で12打数7安打3つのツーベースを記録しています。この2試合のシェブラーの打率/出塁率/長打率は.583/.583/.833となります。

 

記事ではシェブラーがHRではなく、2Bを3本打った事に注目しています。もし去年までのようにHR狙いの打撃をしていたらと仮定して特殊な設定をしています。

7本のヒットのうち

単打1本<HR1本に変える。

2B3本<凡退に変更(HR狙いのアプローチの犠牲としてです。)

 

この結果生み出される打率/出塁率/長打率は.333/.333/.833となり、OPSはこちらの方が高くなるのです。

 

今回の仮定は非常に特殊な事例だと思います。しかしHR数自体は減少しているのに、攻撃力は上がっているわけですからこの理論にもある程度の妥当性はあると思います。これがシェブラーが、HRが減っているのに総合的な攻撃力が高まっている理由でした。

 

*感想

今回の元の英語の記事を読んだ時はハッとさせられました。あの選手も打球角度をあげて成績が向上しているというニュースは多くありますが、その逆というのは非常に珍しいからです。最後の仮定を用いた話は、机上の空論で終わりそうな話ですが、実際にシェブラーは結果を出しています。この考え方が広く認知されると、フライボール革命に対しての理解も変わるのでは?と思いました。MLBファンだけでなく、実際に野球をプレイする人たちにも原文記事を読んで欲しいと思います。


Photo BY
https://goo.gl/nsgHfn

9438653631_edb5e99b0c_z


マリナーズが絶好調です。現在あのアストロズとゲーム差なしの地区首位であり、勝率で見れば地区首位をキープしています。マリナーズが5月以降に地区首位になるのは実に2003年の8月以来だという事実が、彼らがいかに素晴らしいシーズンを過ごしているかを裏付けています。

このマリナーズの好調の裏には様々な要因があると思います。先発投手陣の防御率は5月以降ア・リーグ首位です。ローテーションには、フェリックス・ヘルナンデスとジェームズ・パクストンの生え抜きも存在します。しかしその一方で、マルコ・ゴンザレス、マイク・リーク、ウェイド・ルブランはディポトGMが就任して以降に獲得した選手です。

このようにディポトGMは球界でも屈指のトレードが多いGMとして知られています。今回はニューヨーク・タイムズのTyler Kepner (タイラー・ケプナー)氏の

(https://www.nytimes.com/2018/06/09/sports/baseball/seattle-mariners-.html)という記事を参考にディポトGMの選手補強の哲学をみていきたいと思います。

 

現在のマリナーズを客観的な数字で見ると際立っているのは、三振数の少なさと盗塁数の多さです。それぞれ三振数が30球団中3番目に少なく、盗塁数は4番目に多くなっています。現在のMLBでは史上屈指の三振が多い時代です。1試合あたりの三振数を並べてみると、2018年は8.56となり歴代最高の数字です。

 

さらに現在のMLBは盗塁数の減少も顕著です。盗塁数の減少及びその理由については、以前に紹介した記事で細かく触れていますので是非そちらも参考にしてください。

リンクはこちら(http://mlbyomimono.com/archives/9572365.html)です。

 

まさにマリナーズは現在のMLBの一般的なトレンドを無視あるいは逆行するような戦略を取り入れているのです。

紹介した記事によると、ディポトGMは野球の歴史に非常に精通しているそうです。そのディポトGMは現在のMLBのトレンド(三振数の増加や盗塁数の減少)は近い将来衰退すると予想しています。


ディポトGMは「野球の戦略は循環する。1990年代及び2000年代の初期の野球は、1930年代の野球を想起させるものだった。」と指摘しています。

つまりまた時間が経過すれば、少し前の戦略やトレンドが再流行するということです。

 

そんなディポトGMが獲得する選手の能力で重視しているポイントが3点あるそうです。

それは

①スピード

②身体能力

③コンタクト能力です。

 

これが分かると、マリナーズが先日行ったレイズとのトレードも納得がいきます。マリナーズはデナード・スパンとアレックス・コロメを獲得しましたが、スパンはまさにこの①スピードと③コンタクト能力を兼ね備えた存在です。

それはスパンが2014年のナショナルズ時代に残した盗塁数(31)とヒット数(184)を見れば分かります。まさにディポトGMにとってうってつけの存在だったのです。

 

その上で現在のトレンドである、HRを打てる打者も集めているとディポトGMは説明しています。このHRを打てる打者というのは、ミッチ・ハニガーが適役かと思います。ハニガーは今季既に13HRと長打率.496を記録しています。彼もまたディポトGMがトレードで獲得した選手でした。 


Photo By
https://goo.gl/GGQrN1 


5648028539_1da2c502b0_z
今週の現地月曜日から3日間MLBのドラフトが開催されました。その中で上手く選手を集められたチームと戦略が機能せず期待外れに終わったチームもあります。その中で今回はドラフトの勝ち組となったチームを5つ紹介したいと思います。

今回参考にしたのは、MLB.comのジム・キャリスさんが執筆した(https://www.mlb.com/news/these-teams-did-the-best-in-the-mlb-draft/c-280160484)です。

 

キャリスさんの詳しい分析でドラフトの“現時点での勝ち組を見ていきましょう。勝ち組に選ばれたのは、レイズ、ロイヤルズ、Dバックス、インディアンス、アスレチックスの5つです。順番に見ていきます。

 

(1)レイズ

①レイズの主な指名選手()内はドラフト前のMLB.comによるランキングの順位

 

全体16位マシュー・リベラトーレ(4)

全体31位シェーン・マクラナハン(14)

全体32位ニック・シュネル(38)

全体56位タイラー・フランク(73)

全体71位タナー・ダドソン(86)
全体92位フォード・プロクター(123)

全体120位グラント・ウィザースプーン(107)

全体150位ター・ブラッドリー(172)

 

②レイズのドラフトに対する評価

1番の収穫は文句なしに、リベラトーレとマクラナハンの2人の左腕を獲得できたことです。リベラトーレはドラフト前最後のモックドラフトで多くの識者がTOP10は確実と予想していた逸材。高校生ながら完成度が高く4球種を高いレベルで操る。

マクラナハンは春のリーグ戦で制球力の悪化があり評判を落としていました。しかし元々は最速100マイルの速球を持っている左腕でTOP10候補の呼び声が高い選手でした。シュネルも評価の高い高校生外野手であり、ここも良い指名でした。それ以降は契約金の問題もあって順位よりランキングが低い選手を中心に上手く帳尻を合わせました。

 

(2)ロイヤルズ

①ロイヤルズの主な指名選手

全体18位ブレイディ・シンガー(2)

全体33位ジャクソン・カウワー(15)

全体34位ダニエル・リンチ(77)

全体40位クリス・ブビック(49)

全体58位ジョナサン・ボウラン(113)

全体94位カイル・イスベル(75)

全体122位エリック・コール(184)

全体152位オースティン・コックス(151)

 

②ロイヤルズのドラフトに対する評価

ロイヤルズは上位指名8人中実に6人が大学生の投手という非常に分かりやすい指名をしました。実際にロイヤルズの現状のマイナーは野手が多いなという印象があるので、これはいい戦略だと思います。特に光ったのがシンガーとカウワーのフロリダ大学コンビを指名できたことです。彼らはランキングを見れば分かりますが、もっと上で指名されて当然の存在でした。それ以下でも上手く大学の投手を集めました。個人的にはレイズより良いドラフトだったと思います。

 

(3)Dバックス

Dバックスの主な指名選手

全体25位マット・マクレイン(54)

全体39位ジェイク・マッカーシー(39)

全体63位アレク・トーマス(41)

全体99位ジャクソン・ゴダード(108)

全体129位ライアン・ウェイス(159)

全体159位マット・マーサー(105)

 

Dバックスのドラフトに対する評価

Dバックスは超大物を予想外の順位で獲得に成功したわけではありません。しかし上から3つの指名権を使ってセンターラインの選手を獲得。センターラインの選手の価値はとても高いですから、これは大きいと思います。残りで大学生投手を上手く指名したのもポイントが高いです。



 

(4)インディアンス

①インディアンスの主な指名選手

全体29位ノア・ネイラー(27)

全体35位イーサン・ハンキンス(21)

全体41位レニー・トーレス(47)

全体67位ニック・サンドリン(164)

全体103位リチャード・パラシオス(134)

 

②インディアンスのドラフトに対する評価

上位3つの指名権を上手く使い、高校生の評価の高い選手を掻き集めました。ネイラーは打てる捕手になれる逸材。ハンキンスとトーレスは90マイル代後半の速球を投げられる。残りの2つで契約金を抑えられそうな大学生を指名していて、サインできない可能性も低そうです。指名した高校生が全員MLBで活躍するようなことがあれば、歴史的な成功と言えるかもしれません。

 

(5)アスレチックス

①アスレチックスの主な指名選手

全体9位カイラー・マレー(36)

全体50位ジェイムソン・ハンナ(32)

全体70位ジェレミー・アイアマン(29)

全体85位ホーガン・ハリス(110)

全体113位アルフォンソ・リバス(132)

 

②アスレチックスのドラフトに対する評価

全体9位でマレーを指名したのは大きな驚きでした。しかしマレーは身体能力の塊であり、才能が完全に開花すれば間違いなくオールスター級の選手です。さらに今季良いパフォーマンスを見せるハンナを指名。アイアマンのスティールに成功したのもポイントが高い。マレーとは契約が近いそうです。

以上今回のドラフトで評価の高いチームを紹介してきました。個人的にはツインズのドラフトも良かったかなと思います。読者の皆さんも贔屓チームのドラフトの結果を振り返ってみてください。最後に大学生の成績チェックに役立つサイトを紹介しておきます。

Baseball Cubeというサイトです。このサイトを使えば大学生の成績が簡単にできます。是非活用してみてください。(http://www.thebaseballcube.com)


Photo By
https://goo.gl/NCQQec

8667444124_3606e5a666_z
今回はMLB.comMike Petriello記者によるThese are 2018's most improved hitters(https://www.mlb.com/news/betts-kemp-among-2018s-most-improved-hitters/c-280262296 を紹介したいと思います。

 

この記事では昨年に比べて打撃内容が良くなっている選手が紹介されています。

 

記事の中でPetriello記者はExpected wOBAを使って昨年よりExpected wOBAの向上が大きい選手を紹介して、彼らが去年と比べて今年は何が良くなっているのかの理由を説明しています。

それでは一人一人見ていきましょう。

 

(1)ムッキー・ベッツ(.341<.513へと向上)

ベッツの好調の理由

①健康を維持できていること。

ベッツは昨年親指の痛みを抱えながらプレイしていて万全の状態では無かったそうです。現在はDLにいますが、今季は健康を維持できていることが好調の大きい要因と言えそうです。

 

②打席でのアプローチの変化

今季から就任したコーラ監督からアストロズのスプリンガーのように活躍して欲しいと言われたということは以前紹介させていただきました。この積極的なアプローチも彼の好調に貢献しています。

詳細はこちら(http://mlbyomimono.com/archives/9530669.html)

 

(2)ザンダー・ボガーツ(.286<.386へ向上)

ボガーツの好調の理由

①健康を維持できていること

 

②打席でのアプローチの変化

ボガーツは興味深いことに、ベッツと全く同じ理由で今季好調を維持できているようです。ボガーツは昨年死球を受ける前後で、成績が全く違います。やはり健康は選手の打撃を大きく助けていると言えるでしょう。

 

(3)フランシスコ・セルベーリ(.325<.412へ向上)

セルベーリ好調の理由

①健康を維持できていること

パイレーツに所属するフランシスコ・セルベーリは昨年4DLに入っていました。彼は今季ここまでDLに入っていません。

 

②幸運

hard-hitの割合が今季高いセルベーリ。これがどこまで続くかはなかなか予想が難しいと言えそうです。

 

③控え捕手のエリアス・ディアスの成長

これは私による仮説の1つです。昨年もパイレーツの捕手で2番目に出場機会が多かったディアスですが、彼はfWAR-0.3でセルベーリを支えるより負担を多くしてしまっていました。

しかし今季は一気に逞しくなり、打率.288/OPS.817と好調です。このディアスの成長によって、セルベーリにかかる負担の減少が打撃好調に繋がっているのかもしれません。

 

(4)ダニエル・ロバートソン(.274<.359へ向上)

ロバートソン好調の理由

①スウィングの変更

ロバートソンに関しては、色々なところで指摘されているようにスウィング変更が功を奏したようです。彼はいわゆるフライボール革命の波に乗り、成績を伸ばしています。彼がFangraphsへのインタビューで自身のスウィング変更について答えています。興味のある方は是非読んでみてください。(https://www.fangraphs.com/blogs/daniel-robertson-on-his-new-swing/)

 

(5)マイケル・ブラントリー(.348<.423へ向上)

ブラントリー好調の理由

①健康を維持できていること

2016年と2017年に合計で101試合しか出場できなかった選手が、今季は健康に過ごせている。ブラントリーの復活には、何よりも健康が大きな要素だったのでしょう。

 

(6)アーメド・ロザリオ(.233<.306へ向上)

ロザリオ好調の理由

①不明

ロザリオはExpected wOBAの上昇ポイント数で見れば、確かに73ポイント向上しています。しかしロザリオは今季もwRC+79と非常に低い水準であり、更なる打撃改善が必要です。ロザリオのプラスの面はK%28.8%から20.7%へ下げていることです。BB%はまだまだ低水準ですが、こちらの数字も改善出来ればMLBで平均以上のショートになる可能性は大いにあると言えるでしょう。

 

(7)ミッチ・ハニガー(.331<.402へ向上)

ハニガー好調の理由

①健康を維持できていること

ハニガーは昨年も4月に絶好調で、昨年4月のOPS1.054でした。しかしその後は死球を受けたこともあり、打撃の調子を落としていました。しかし今季は健康をキープして、ここまでOPS.876と好調でマリナーズ打線に欠かせない存在となっています。

 

②スウィングの改良

低弾道のラインドライブを打つより、ボールを打ち上げることを現在は意識しているそうです。

 

(8)マット・ケンプ(.358<.421へ向上)

ケンプ好調の理由

①コンディション

ケンプの活躍は今季球界でもトップクラスの驚きとなっています。彼の好調の秘訣は体重を落としたことで、体のキレを取り戻したことです。彼が今季残しているfWAR2.0は今季ドジャーストップです。

 

 

Petriello記者による好調選手の分析は以上ですが、管理人が個人的に気になる今季好調な打者も紹介したいと思います。時間のある方はお付き合いください。

 

(9)マニー・マチャド

マチャドの進化

①打席でのアプローチの更なる洗練

マチャドが2012年に衝撃のデビューを果たしてから6年。彼は今季BB%K%でいずれもキャリア最高の数値を叩き出しています。

 

②打球方向の変化

今までは打球を引っ張る傾向が強かったマチャドですが、今季はPull%が自身最低でOppo%がキャリア最高と逆方向にも打ち返せるようになっています。

 

(10)マット・デイビッドソン

デイビッドソンは開幕戦での3HRが強烈でしたが、その後も結果を残しています。デイビッドソンも打席でのアプローチが良くなっています。

デイビッドソンの好調の原因を考察した文章(https://www.fangraphs.com/blogs/how-matt-davidson-became-the-most-improved-hitter-in-baseball/

)があったのでこちらも参考にしてみてください。

 

*感想

今回紹介した記事で、好調の理由を分析して1番多かったのが健康を維持できていることでした。改めて健康の重要さを感じさせられました。今季は他にも好調な打者(ATLのニック・マーケイキスやMINのエディ・ロザリオ、CHCのハビアー・バイエズ等々)が沢山います。Fangraphsでのデータ比較等を通して、好調選手の活躍の理由を探してみるのも面白いかもしれません。

Photo BY
https://goo.gl/CSPv79


41944510991_1b010ba10e_z
ア・リーグ西地区は今季1番サプライズが起きている地区かもしれません。開幕2ヶ月が過ぎた段階でマリナーズがアストロズより上の順位にいます。しかしサプライズはマリナーズだけではありません。そうです、エンゼルスも見事に今季サプライズを起こしています。

 

エンゼルスは2010年以降地区優勝が1回だけとかつての黄金時代を取り戻せていません。しかし今季はここまで勝率.550を超える成績を残しており、地区優勝最低でもプレーオフ進出が狙える状況です。

 

ここ数年のエンゼルスが苦戦していた理由は先発ローテーションに故障者が多かったことにあります。例えば昨年の成績を見てみましょう。

開幕時の先発陣はリッキー・ノラスコ、マット・シューメイカー、タイラー・スキャッグス、ジェシー・チャベス、ギャレット・リチャーズでした。

しかしこの中で1年間ローテを守り切ったのはノラスコだけです。さらに20試合以上先発登板をした選手もたった2人だけでした。これを見ればいかに先発陣に故障者が多かったかを理解できると思います。

 

しかし今季は特殊な6人ローテを採用することで先発陣が好調です。先発投手の防御率3.58は現在ア・リーグ3位です。さらに過去30日に絞って考えるとマリナーズについてア・リーグ2位となります。さらに今季は既に7試合以上投げている投手が6人もいるのです。6人ローテを導入したことでエンゼルス投手陣はどこが良くなったのかをオレンジ・カウンティ・レジスター紙のJeff Fletcher氏が書いていたので、今回は紹介していきたいと思います。

原文のリンクはこちら(https://www.ocregister.com/2018/06/07/angels-starters-flourishing-with-six-man-rotation/)になります

 

General Manager Billy Eppler’s idea of using a six-man rotation – more accurately, of giving pitchers an extra day of rest whenever possible – has not only received the stamp of approval from the pitchers, but the results have been undeniable

GMであるビリー・エプラーの6人ローテーションというアイデアー正確に言うと投手にさらに休みを与える戦略—は投手陣からの承諾を得ただけでなく申し分のない結果を叩き出している。」

 

先発陣の一角を務めるタイラー・スキャッグスもこの方法に賛同している選手の1人で、彼は「休みが増えることは、疲労回復に良い。(6人ローテは)プラスの面がたくさんあって、マイナスの面はそれほどない。」と語っています。

 

大谷翔平の加入がエンゼルスの6人ローテ採用のきっかけになったわけですが、彼自身は他の選手とは別のスケジュールで登板しています。現在大谷は日本時代と同様に最低でも6日間の休養を置いて、登板しています。

 

エンゼルスは大谷以外の投手陣にも5日間の休養を与えています。スケジュールの関係で休養日が多く5日間の休みを与えられる場合は他のチームと変わりません。エンゼルスのオリジナリティが発揮されているのは、6人目の投手としてルーキーのハイメ・バリアを起用して5日間の休養を上手く作り出している点です。

 

投手陣に5日間の休養を与えられない場合のみ、バリアを昇格させて1日彼を起用する。そして翌日にはバリアをマイナーにオプションさせることで、ブルペンの選手や野手を登録する。この方法を用いれば、6人ローテーションを実践していながら実際にはシーズンのほとんどで25人枠には先発投手が5人しかいない状態をキープできるのです。

 

実際にバリアに関するエンゼルスのTransactionsの記録は以下のようになっています。

2018/04/11 MLBに昇格

2018/04/12マイナーに降格

2018/04/22 MLBに昇格

2018/04/23マイナーに降格

2018/05/03MLBに昇格

2018/05/16マイナーに降格

2018/05/26MLBに昇格

2018/06/02マイナーに降格

 

このようにバリアにMLBとマイナーを往復させることで、彼以外のローテの投手に休養を与えているのです。この6人ローテーションの実践で、主に2つの好影響があるそうです。

 

まず1つ目は投手の登板間隔についてです。従来は中4日制なので、登板間のブルペン投球は2日目か3日目に設けていました。

登板日

休養1日目

休養2日目

休養3日目

休養4日目

登板日

このシステムだと、ブルペンと実戦登板の間が1日になってしまうのです。しかし中5日制にすれば、

登板日

休養1日目

休養2日目

休養3日目>ブルペン投球

休養4日目

休養5日目

登板日

こうなれば、ブルペンと実戦の間が両方とも2日確保できます。このシステムをスキャッグスは絶賛しています。

 

2つ目の好影響は、前回登板の修正を施しやすくなったことです。先発ローテーションの一角を担うニック・トロピアーノがそれを説明しています。

“You can get a little more intent into it,” he said. “On a five-day rotation, you don’t have that luxury. You want to stay with your routine. You throw 25-30 pitches. Now you can go maybe 35 or 40-plus with the six-day.

「課題の修正により没頭できるようになっている。中4日で回している時には、ルーティンを守るのでそんなことはできずブルペンでは25-30球を投げるだけだった。現在は35-40球投げられる。」

実際にトロピアーノはスプリッターの調子が悪かった登板の後はそこを重点的に克服するそうです。

 

最後にフレッチャー記者は、去年のローテーションと比べて今季のローテの成績が良いことは単純には比較できないと記しています。その理由は昨年と今年のローテーションのメンバーが大きく違うからです。現状では休養日が増えたことと成績向上の因果関係は分かりません。

しかし最後にフレッチャー記者はヒーニーの言葉を引用しています。

“Maybe we’re on to something,” Heaney said. “Revolutionizing the game.”

「おそらく僕たちは何かー野球に革命を起こすことーを今実行しているよ。」

 

*感想

今回は非常に中身の濃い話でした。去年までは確かに故障者の多かったエンゼルス投手陣が、どれだけ故障者を減らせるかは大きな注目だと思います。

また個人的に気になるのは、6人目の先発投手ハイメ・バリアの存在です。この投手運用はバリアが若手でマイナーオプションが残っているからこそ出来る投手運用だと思います。現在は好調なバリアですが、彼が今後不振になればこの特別6人ローテーションをエンゼルスは続けるのかも気になります。

 

今季はレイズのリリーフ投手を先発起用するやり方が多いに注目されています。ドジャースもそれを追随するように今日は登板した投手が全員中継ぎという珍しいやり方を採用しています。今後もこのような様々な技巧を凝らした投手運用が出てくると思います。その様々なやり方からは目が離せません。

エンゼルスが6人ローテを採用しようと決めたきっかけは大谷選手です。もしこれを他球団も真似て中4日の原則が崩れたらまさにMLBに革命が起きたと言っていいはずです。そこにも大谷選手が絡んでいると考えると、本当に歴史を塗り替える選手だなと思いました。

Photo By
https://goo.gl/rSKedv

↑このページのトップヘ